写真●ナウキャストの技術顧問である、東京大学大学院の渡辺努教授
写真●ナウキャストの技術顧問である、東京大学大学院の渡辺努教授
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 経済データの解析などを手掛けるベンチャー企業のナウキャストと日本経済新聞社は2015年12月9日、経済統計データを配信する新サービス「NowcaSTats(ナウキャスタッツ)」を2016年1月5日から共同で開始すると発表した。第1弾として、ビッグデータを活用して算出する新たな物価指数「日経CPINow」を提供する。

 「日経CPINowによって、総務省が消費者物価指数(CPI)を発表するよりも早く、物価の動きを把握できる。物価は“経済の体温”と呼ばれており、景気動向をいち早くつかみたい企業のマーケティング担当者や投資家の意思決定に役立つ」と、ナウキャストの技術顧問である、東京大学大学院の渡辺努教授(写真)は説明する。

 「日経CPINow」は「T指数」と「S指数」の2つの指標からなる。T指数は、全国のスーパーマーケット800店舗のPOSデータを基に算出する物価指数。対象商品は日用品や食料品など30万点。実際の取り引きデータを使っているので「総務省のCPIよりも正確で、素早く指数化できる」(渡辺教授)。総務省のCPIは調査員が店舗の商品棚を確認して価格を調べるため、1カ月に1回、調査日から1カ月半後に公表される。これに対し、T指数は毎日、調査日から2日後に公表される。

 T指数は、2013年に発表された「日経・東大日次物価指数」を拡張したもの。対象とする店舗数を300店舗から800店舗に増やしたり、集計の系列項目を増やしたりするなどの改良を加えた。日経・東大日次物価指数はWebサイトで無償公開されていたが、2015年末に更新を停止する。

 S指数は、T指数と同じデータソースを使って、総務省のCPIを予測するもの。総務省の公表1カ月前に発表する。総務省のCPIと同じ算出式、同じ銘柄選定基準を使うことで予測を可能にするという。

 料金は月額3万円(税別)から。各種データに加えて月1回のレポートが付く。2016年1月~3月はトライアル期間として無料で利用できる。