米Appleと韓国Samsung Electronicsは、両社が長年争ってきた特許侵害訴訟に関して、SamsungがAppleに約5億5000万ドルを支払うことで同意した。両社が現地時間2015年12月3日に裁判所へ提出した共同書面(PDF文書)で明らかになった。

 Appleは2011年4月、Samsungの製品が同社の特許やデザイン、商標を侵害したとして米カリフォルニア州北部の米連邦地方裁判所に訴訟を起こした。地裁は2012年8月、SamsungによるApple特許の侵害があったとして、Samsungに10億5000万ドル(その後の見直しで約9億3000万ドルに減額)の損害賠償支払いを命じる判決を下した。Samsungはこの判決を不服として上訴し、米連邦巡回控訴裁判所は2015年5月、一部審理の差し戻しを命じた。控訴裁は、Appleのユーティリティー特許およびデザイン特許をSamsungが侵害したとする地裁の判断は支持したものの、トレードドレス(製品やブランドの全体的なイメージに関する知的財産)に関する判断は覆した(関連記事:SamsungとAppleのスマホ訴訟、控訴裁が一部審理を差し戻し)。

 共同書面によると、Samsungは2015年9月18日に地裁から言い渡された賠償金5億4817万6477ドルを、Appleから請求書原本が届いた日から10日以内に支払う。12月14日までに支払いを完了する見込み。

 ただしSamsungは、特許有効性の検討や米最高裁判所への上告申請の結果によって、9月の判決が今後、変更されたり無効と見なされたりした場合、賠償金の全額あるいは一部返金を受ける権利を主張している。しかしAppleはこの点について意義を唱えている。一方、AppleはSamsungに対し、賠償金に加えて訴訟費用180万ドルの支払いも求めているが、Samsungは応じる意思はないとしている。

 また共同書面では、両社が11月2日に和解協議に出席したものの、話し合いがまとまらなかったことを記している。

[裁判所資料(PDF文書)]