米Yahoo!の取締役会は一連の会議で中核事業の売却について検討すると、複数の米メディア(New York TimesCNETなど)が報じている。

 最初に報じた米Wall Street Journal(閲覧には有料登録が必要)が現地時間2015年12月1日に関係者から得た情報によると、会議は今週水曜日から金曜日にかけて開催され、インターネット事業売却のほか、保有する中国Alibaba Group(阿里巴巴)株式の分離計画についても協議するという。

 Marissa Mayer最高経営責任者(CEO)がYahoo!の指揮を執って3年経つが、インターネット事業再建の目立った成果はなく、同社に対しては物言う株主から株主価値を高めるようプレッシャーが増している。Yahoo!は今年1月、保有するAlibaba株を税金がかからない方法で分離する計画を明らかにしたが、米内国歳入庁(IRS)が非課税対象になるかどうか判断を控えたため、株主の米Starboard Valueは同計画の中止を求めている。

 Yahoo!は約320億ドル相当のAlibaba株と約85億ドル相当のヤフー株を保有している。Yahoo!の時価総額のほとんどがこれら株式によるもので、Alibaba株とヤフー株を差し引くと、Yahoo!のインターネット事業の価値はマイナスになる。

 しかしYahoo!には大規模なユーザー基盤と営業部門という強みがあると、米Pivotal Researchのアナリストは指摘する。米Cantor Fitzgeraldのアナリストは10月に公開したレポートで、Yahoo!のインターネット事業の価値を39億ドル(現金を含まず)と見積もっている。

 中核事業の売却検討が伝えられると、Yahoo!の株価は時間外取引で7%上昇した。

 Wall Street Journalの別の記事では、可能性が高い買い手として、通信大手の米Verizon Communications、著名実業家Barry Diller氏が会長を務める米InterActiveCorp(IAC)などの名前を挙げている。