LIXILは2015年12月2日、住環境でIoT(Internet of Things)の活用を検証する「LIXIL IoT House プロジェクト」を開始すると発表した。建材や住宅関連機器に搭載したセンサーで取得したデータを分析するなどして、新機能やサービスの創出を目指す。2017年には、IoT活用のモデル住宅「IoT House コンセプトハウス」を竣工する計画だ。投資額は約10億円。
「当社は新たな一歩を踏み出した」。藤森義明 取締役代表執行役社長兼CEO(最高経営責任者)は同日開かれた記者会見で、こう意気込んだ(写真1)。IoT House コンセプトハウスの詳細な機能などについては詳細は明かさなかったが、「ビジネスモデルを大きく変える可能性がある」(藤森社長)という。例えば、HEMS(住宅エネルギー管理システム)などのサービスでは、構築の初期費は無料とし、年間利用料をユーザーが払う、といった料金体系の導入だ。
同社は2009年から、専用の住宅施設において住環境でセンサーを使って取得できるデータの活用方法を研究してきた。例えば、高齢者の転倒検知や、住宅の周りのセキュリティサービスなどだ。IoT House コンセプトハウスには、これらの研究で得られた成果を実装するとともに、新機能も実装する、例えば、トイレに搭載したセンサーで排せつ物を検知し、ユーザーの健康状態の可視化に役立てる。
IoT House コンセプトハウスは、東京大学大学院情報学環ユビキタス情報社会基盤研究センター長の坂村健教授と協力して、建設する(写真2)。「LIXILのような世界的に住宅関連機器を提供している企業が取り組むことで、住まいのIoT活用は加速するだろう」(坂村教授)。