写真1●SAPジャパン バイスプレジデント プラットフォーム事業本部長 鈴木正敏氏
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写真2●SAP Cloud for Analyticsの全体像
写真2●SAP Cloud for Analyticsの全体像
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写真3●必要なグラフをコピーして一画面に集め、自分だけの分析画面(ダッシュボード)を作れる
写真3●必要なグラフをコピーして一画面に集め、自分だけの分析画面(ダッシュボード)を作れる
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 SAPジャパンは2015年12月1日、クラウド型データ分析ソリューション「SAP Cloud for Analytics」の提供を開始した。インメモリーデータベース「HANA」を活用したソフトウエア基盤「SAP HANA Cloud Platform」上で動作し、大規模なデータを高速に処理する。企業内の情報を集約して経営の意志決定をするための役員向け機能や、データ分析に不慣れな人でも容易に使えるBI(ビジネスインテリジェンス)機能などを、SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)として提供する。従来も「SAP Lumira」などクラウド版の分析サービスは一部提供していたが、今回初めて、様々な用途に向けた総合的な分析サービスをクラウドベースで用意した。

 SAP Cloud for Analyticsのコンセプトは「全てのアナリティクスを、全てのユーザーに、一つの製品で提供する」(SAPジャパン バイスプレジデント プラットフォーム事業本部長 鈴木正敏氏)こと(写真1)。利用シーン別に機能をパッケージ化した5種類のコンポーネントを用意する(写真2)。

 同日リリースしたのは、このうちの3種類。経営会議などで使われることを想定した「SAP Digital Boardroom」、各事業部門のユーザー向けBIツール「SAP Cloud for Analytics for BI」、財務担当者やアナリストなどに向けた「SAP Cloud for Analytics for Planning」である(写真3)。例えばSAP Digital Boardroomでは、経営の意志決定に必要な代表的なKPI(重要業績評価指標)をテンプレートとして組み込み、必要なデータをすぐに見られるようにした。チャットツールも用意し、データの中身について現場の社員に問い合わせるといったやり取りも迅速化できるという。なお2016年には、データを基に未来予測を行う「SAP Cloud for Analytics for Predictive」と、リスク管理などを担う「SAP Cloud for Analytics for GRC」もリリース予定という。

 分析に利用するデータは、SAP HANA Cloud Platform上のアプリケーションだけでなく、オンプレミス環境にあるSAPの業務システムから集めることもできる。クラウドサービスとの連携も強化する予定で、まずは人事向けの「SAP SuccessFactors」やマーケティングの「SAP hybris Marketing」など、同社のグループ企業のサービスとの統合を予定する。

 他社提供のクラウドサービスとのデータ連携にも対応する。既に米セールスフォース・ドット・コムのサービスとはデータのやり取りが可能で、今後それ以外のパートナーとも連携するという。

 同社は、オンプレミス環境向けのデータ分析製品も提供しており、オンプレミス版にも「今後も継続して投資する」(鈴木氏)という。例えば本社用の分析基盤としてオンプレミス版を使い、海外支社ではクラウド版を利用するなど、用途に応じた使い分けが可能だと説明した。