日立製作所と日立コンサルティングは2015年11月30日、日立グループの構造改革のノウハウを活用した製造業向け構造改革支援サービス「Transformation 支援サービス」の提供を2016年1月から始めると発表した(図1、2)。価格は1件数千万~数億円ほど。初年度は3件前後を手掛け、順次規模を拡大させる。

 日立グループはこれまで「Hitachi Smart Transformation Project(略称:スマトラ)」と称するコスト構造改革を実施しており、物流・調達を含めたサプライチェーン管理(SCM)の最適化やグループ間の業務共通化などで、2011年度から2014年度までに累計3200億円のコストを削減した。「一般的なコンサルは『理想』を示すことはできるが、我々は理想とともに『実績のある参照モデル』を示せるのが強みだ」(日立製作所 社会イノベーション事業推進本部 ソリューション・ビジネス推進本部 インダストリープロジェクト本部 本部長の権守直彦氏)。

 従来は社内で囲い込んでいたプロセス改革の手法を、各種テンプレートの形で提供する。顧客企業はテンプレートを活用することで、短時間に改革計画を策定できる。改革の実行フェーズでは、日立グループが「スマトラ」を経て共通化した物流・調達基盤などの事業基盤を貸し出すサービスも展開する。「1社だけではできないこともある。オープンイノベーションを志向し、幅広い分野で協調したい」(権守氏)。

図1●「Transformation 支援サービス」の概要
図1●「Transformation 支援サービス」の概要
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 同サービスは、(1)全体改革計画策定フェーズ(1~3カ月)、(2)改革構想具体化フェーズ(3~6カ月)、(3)改革実行フェーズの3工程からなる。(1)と(2)はコンサルタントの人数と期間に基づくコンサルティング費、(3)では必要に応じて各種サービスの月額費用などを支払う。

 改革実行フェーズで日立が提供するサービスには、IoTに基づくSCM最適化サービス「Hitachi Total Supply Chain Manegement Solution /IoT」、中国や東南アジア向けに日立グループの物流・調達基盤を貸し出す「グローバル調達ロジスティクスサービス」などがある。

図2●日立グループは、構造改革において事業を4つに分類し、業務の共通化などを推進した。同社はこうした経験から、顧客企業の特性に合ったコンサルティングサービスを幅広く提供できるとする
図2●日立グループは、構造改革において事業を4つに分類し、業務の共通化などを推進した。同社はこうした経験から、顧客企業の特性に合ったコンサルティングサービスを幅広く提供できるとする
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