シンガポール国立大学で客員上席研究員を務めるキース・カーター氏が2015年11月26日、東京・成城大学で特別講義とラウンドテーブルを実施した(写真)。カーター氏はアクセンチュアやエスティローダーでの実務経験を基に、ビッグデータを企業の意思決定につなげる「アクショナブルインテリジェンス(Actionable Intelligence)」と呼ぶ考え方を提唱。大学で教えるとともに、この考え方を企業や組織に広げる活動を展開している。

写真●シンガポール国立大学で客員上席研究員を務めるキース・カーター氏
写真●シンガポール国立大学で客員上席研究員を務めるキース・カーター氏
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 特別講義とラウンドテーブルでは、ビッグデータを意思決定に役立てるために何が必要なのかを、エスティローダーでの経験談を交えて分かりやすく学生や社会人に示した。

コントロールタワーの役割が大切

 アクショナブルインテリジェンスでは「SWAT」と呼ぶ流れでデータ活用を進める。SはStrategic Business Questions(戦略的なビジネスの質問を立てる)、WはWrangle Data(質問に答えるためのデータを用意する)、AはAnswer with Visualization(可視化して答える)、TはTake Action(実践する)。

 この流れでデータ活用を組織で進めるには「コントロールタワーと呼ぶ組織の存在が大切になる」とカーター氏は話す。「問いを作るところからデータに基づき実践するまでのプロセスをクリアにして、データに基づく意思決定を可能な組織にしていくことが、コントロールタワーの役割だ」。

 カーター氏がエスティローダーに在籍したときには、CEO(最高経営責任者)、COO(最高執行責任者)の直下にセンター・オブ・エクセレンス(COE)と呼ぶ組織を作り、その中の「コンペティティブインテリジェンス」と呼ぶ部門がコントロールタワーの役割を担ったという。この部門がデータ分析を主導し、どのようなリスクやチャンスがあるかをCEOとCOOに直接報告した。一方で、サプライチェーン、営業、財務、マーケティングなどの部門が、コンペティティブインテリジェンスのユーザーとなっていた。