中国Alibaba Group(阿里巴巴)が、香港の英字新聞「South China Morning Post(SCMP)」を発行するSCMP Group(南華早報集団)からメディア資産を買収することで交渉していると、英Reutersをはじめ複数の海外メディアが現地時間2015年11月26日までに報じた。

 SCMP Groupはこれより前に、名前は明かさなかったものの第三者からメディア資産買収の提案を受けたことを明らかにしていた。

 米Bloombergは11月23日付けの記事で、AlibabaのJack Ma(馬雲)会長がSCMP株式取得に向けて協議を進展させていると報じたが、Reutersへの情報提供者によると、Ma会長個人が出資するのではなく、Alibabaとして買収する方針で交渉中という。SCMP紙は香港のエリート層によく読まれており、かつて最も利益性の高い日刊紙とされていたが、読者のオンライン移行に伴い、発行部数が落ち込んだ。1993年に、米News Corpの会長であるRupert Murdoch氏が持ち株のほとんどをマレーシア人実業家のRobert Kuok氏に売却して以来、所有者は変わっていない。

 Alibabaはこれまで、中国本土の多数のメディアを買収し、メディア業界での地歩を広げつつある。SCMPの一部記者は、Ma会長がスタッフの待遇の良さで評判があるとして、今回の報道を歓迎している。一方で、同氏と中国本土および中国政府との密なつながりを警戒する記者もいるという。

 米Wall Street Journal(閲覧には有料登録が必要)は、買収するのがAlibabaであるにしろMa会長であるにしろ、SCMPがマレーシア人の所有から離れ、中国企業の手中に収まることは、報道に規制をかけられていない都市の新聞が中国の支配下に入ることを意味すると、指摘している。