写真●Airbnbが調査した経済波及効果
写真●Airbnbが調査した経済波及効果
[画像のクリックで拡大表示]

 空き部屋を個人間で貸し借りするサービスを運営する米Airbnbは2015年11月26日、同社サービスが日本にもたらした経済波及効果に関する調査結果を発表した。宿泊や食事、買い物などによる経済波及効果は年額で2219億9000万円、雇用に対する波及効果は2万1800人とした(写真)。訪日客が使う金額は1人当たり16万9600円で、平均滞在日数は3.8日。一般的な訪日外国人に比べて旅費全体に占める宿泊料の割合が低く、買い物や食事などより多様な消費へとお金を使う傾向があるという。日本の観光業に貢献していることをアピールし、国内でのサービス普及につなげたい考えだ。

 「Airbnbは日本にすばらしい貢献をしている。利用者のコミュニティは目覚しい拡大を遂げており、経済、観光業、地域社会に貢献できている」。同社のマイク・オーギルアジア太平洋公共政策ディレクターは、効果を強調した。

 調査は2014年7月から2015年6月にかけて、日本国内でAirbnbを使って旅行した人を対象に実施した。早稲田大学ビジネススクールの根来龍之教授との協力を得た。空き部屋を貸し出す「ホスト」が得た収入額と、それに基づいてホストが実施した消費の金額、そして空き部屋を借りる「ゲスト」が買い物や飲食に使った消費額などを調べた。

 共同で調査を実施した根来教授は「Airbnbの経済波及効果は日本にとって“真水”の効果になる」と説明した。つまり約2220億円がほぼ経済効果として上積みされるとの見解だ。日本は現在、訪日外国人の増加などで宿泊施設が不足しているため、Airbnbは新たな宿泊施設の供給に貢献したという見立てだ。「もし宿泊施設の空きが十分あるなら、Airbnbの需要は既存宿泊施設の需要を奪うことになり、波及効果は相殺されてしまう」(根来教授)。

 Airbnbを使って日本を訪れるゲストは年間52万5000人で、前年に比べて5倍以上に、物件数も2万1000件と前年比で4倍近くに増えた。「日本は世界で最も早く成長している国。47都道府県、全てに物件がある」(日本法人であるAirbnb Japanの田邉泰之社長)。

 Airbnbを巡っては、旅館業法へ抵触するおそれやゲストと近隣住民とのトラブルなどが指摘されている。日本政府は個人宅への宿泊である「民泊」を解禁する方向で議論を始めた。オーギルディレクターは「政府と協力して、できるだけシンプルなルール作りを進めたい」と説明した。

■修正履歴
第2パラグラフと最終パラグラフ、アジア太平洋公共政策ディレクター「オーギール」氏の名前を「オーギル」氏と修正しました。[2015/11/26 20:25]