写真●SAPジャパンの福田譲代表取締役社長
写真●SAPジャパンの福田譲代表取締役社長
(撮影:井上 裕康)
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 SAPジャパンの福田譲代表取締役社長は2015年11月25日、東京・目黒のウエスティンホテル東京で開催された「イノベーターズサミット」(日経BP社 日経ITイノベーターズ主催)で講演した(写真)。

 「デジタル化が産業を大きく変える。半月ほど前にシリコンバレーに滞在して、肌で感じた」。福田社長は来場者にこう語りかけ、タクシーの配車サービス「Uber」や、空き部屋を宿泊用に仲介する「Airbnb(エア・ビー・アンド・ビー)」などの例を紹介した。いずれも、従来のビジネスモデルを大きく打ち破る革新的なサービスだ。

 「これらのビジネスの本質は、製品やサービスがリアルタイムにつながる、といった常識の上に提供されていることだ」(福田社長)。このほか、データを収集、分析してビジネスに活用する「データドリブン」であること、より良い顧客体験を提供するために最新のテクノロジーを活用していることも共通点だという。

 福田社長は、SAPのソリューションを利用して急成長を遂げた、スポーツ衣料の米アンダーアーマーの事例を紹介した。同社は、顧客にフィットネス向けのスマートフォン用アプリを提供し、オンラインのショッピングサイトやポイントカードの利用履歴データなどと組み合わせて活用することで「消費者とリアルタイムにつながるビジネスモデルを構築している」(福田社長)。同社は1億2000万人分のデータを保有しているという。

 このような、革新的なビジネスモデルを構築するためには、「デザインシンキング(デザイン思考)」の考え方を実践することが重要だという。同社では、デザイン・シンキングが学べるスタンフォード大学の「d.スクール」に社員を派遣するなどして積極的に取り組んでいる。「これまで提供してきた基幹系の領域だけではなく、デザインシンキングを重視した、ビジネスを革新するようなソリューションを提供していきたい」(福田社長)とした。