写真●富士通の阪井洋之執行役員常務 グローバルマーケティング部門長
写真●富士通の阪井洋之執行役員常務 グローバルマーケティング部門長
(撮影:井上 裕康)
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 富士通の阪井洋之執行役員常務 グローバルマーケティング部門長は2015年11月25日、東京・目黒のウエスティンホテル東京で開催された「イノベーターズサミット」(日経BP社 日経ITイノベーターズ主催)で、講演した(写真)。講演の題目は「富士通が提案するデジタル革新~イノベーションの共創に向けて~」。

 講演の冒頭、阪井執行役員常務はIT活用でビジネスに変革をもたらす「デジタル革新」の事例を紹介した。特に富士通が他社と協業することで成功した事例だ。

 オムロンとの協業事例では、工場の製造ラインに関するデータを収集し、分析することで、生産性を30%向上できたという。賃貸アパート事業を展開するレオパレス21との事例では、住宅の屋根を貸し出して太陽光発電に利用するビジネスモデルを創出した。

 阪井執行役員常務は、「デジタル革新に必要なのは、ITを『Systems of Engagement(SoE)』と『Systems of Record(SoR)』に分けて考えることだ」と話す。SoEは、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などから得られる大量のデータを活用する、顧客接点を重視するシステム。SoRは従来の基幹系システムに相当する。「新しいSoEだけではなく、SoRからの取り組みも必要だ」(阪井執行役員常務)。

 SoEとSoRのシステムを同一のプラットフォーム上に構築できるのが、9月に発表したデジタルビジネス・プラットフォーム「FUJITSU Digital Business Platform MetaArc」だ。モバイルやビッグデータ、IoT(Internet of Things)関連のサービス・製品群を組み合わせて提供する。

 このほか、人工知能(AI)についての取り組みも紹介した。同社は11月に、AIに関する知見や技術を体系化した「Human Centric AI Zinrai」として発表している。同社は約200人のAI関連の技術者を有する。2015年11月1日には、AI活用コンサルティング部を推進組織として設立した。