写真●「イノベーターサミット」で講演する日本GEの熊谷昭彦代表取締役社長兼CEO(最高経営責任者)
写真●「イノベーターサミット」で講演する日本GEの熊谷昭彦代表取締役社長兼CEO(最高経営責任者)
(撮影:井上 裕康)
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 米ゼネラル・エレクトリック(GE)の日本法人である日本GEの熊谷昭彦代表取締役社長兼CEO(最高経営責任者)は2015年11月25日、東京・目黒のウェスティンホテル東京で開催された「イノベーターズサミット」(日経BP社 日経ITイノベーターズ主催)において、「次世代型製造業を目指すGEの挑戦」と題して講演した(写真)。「GEに入社して30年以上になるが、ここまで大きな変化は初めて」と語る大改革の中身を明かした。

 GEは近年、「デジタル・インダストリアル・カンパニー」を掲げた事業構造改革を進めている。産業機器を中心とした従来の中核事業と、ソフトウエアやデジタル分野の技術を組み合わせて、新たな付加価値を創造するというものだ。具体的な取り組みとして「インダストリアル・インターネット」「アドバンスト・マニュファクチャリング」などを挙げた。

 「インダストリアル・インターネット」とは、IoT技術を自社製品に取り込み、付加価値を高めるものだ。例えばマレーシアの格安航空会社(LCC)エアアジアには、GE製のジェットエンジンを納入するだけではなく、「FES」と呼ぶ運航最適化サービスも提供している。

 エンジンは100個以上のセンサーを内蔵し、部品の寿命や故障の予兆などを検知する。さらに、燃料消費などのデータも収集し、航路や運航スケジュールの最適化に役立てる。FESによって、エアアジアでは2014年に1000万ドル分の燃料消費削減につながったという。

 「アドバンスト・マニュファクチャリング」とは、部品の製造に3Dプリンターを活用する取り組みを指す。「人件費が安い国で部品を製造して運ぶのに比べて、最終消費地に3Dプリンターを置いて製造した方がサプライチェーンの管理がシンプルになり、納期短縮につながる」(熊谷社長)。

 例えば、新潟県のGEの工場では、金属3Dプリンターを設置し、石油・ガスプラント用のバルブ部品などを製造している。あるバルブ部品の納期は従来の3カ月から2週間に短縮されたという。

 熊谷社長は「デジタル化が進展した世の中では、ソフトウエアの付加価値が増し、ハードウエアの付加価値は相対的に下がってしまう。GEにとって、ソフトの儲けを他に取られないようにする必要がある」と説明した。

■変更履歴
最終段落の表現を熊谷社長の発言により即したものに変更しました。 [2015/11/25 20:20]