写真●Apple Pay(画面は米国での発表時のもの)
写真●Apple Pay(画面は米国での発表時のもの)
(出所:Apple)
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 米Appleが中国でモバイル決済サービス「Apple Pay」(写真)を始めるべく、同国の国有銀行4行と合意に達したと、米Wall Street Journalが現地時間2015年11月24日に報じた。

 Appleは中国の大型連休である春節(2016年2月8日)時期までにApple Payを開始したいと考えている。ただし、同国では銀行業務と電子商取引業務を複数の政府機関が監督しており、同社は困難な規制の問題に直面する可能性があるという。また、すでにAppleのライバルが同国のデジタルマネー市場を支配しており、同社は厳しい競争にさらされると、Wall Street Journalは伝えている。

 同紙によると、中国ではChina UnionPay(中国銀聯)がクレジットカードとデビットカードの決済業務を独占しており、事実上MasterCardとVisaを市場から閉め出しているという。また電子決済サービス分野では、電子商取引大手Alibaba Group(阿里巴巴集団)の「Alipay(支付宝)」と、ネットサービス大手Tencent Holdings(騰訊控股)の「Tenpay(財付通)」がそれぞれ45%と19%の市場シェアを持っている。

 一方、Apple Payの中国展開については、昨年Alibaba GroupのJack Ma(馬雲)会長が提携に関心を示していると伝えられた。これについてWall Street Journalは、Appleはこうした中国企業をパートナーにして、同国でサービスを展開できる可能性があると伝えている(関連記事:AlibabaのMa会長、決済事業におけるAppleとの提携に関心)。

 なお同紙の別の記事によると、Appleは今年6月、Apple Pay事業を中国で始めることを目的に上海自由貿易区で「Apple Technology Service (Shanghai) Ltd.」という現地法人を登記している。