写真1●セールスフォース・ドットコムの笹俊文執行役員
写真1●セールスフォース・ドットコムの笹俊文執行役員
写真2●ヤフーの荒波修執行役員
写真2●ヤフーの荒波修執行役員

 セールスフォース・ドットコムとヤフー(Yahoo! JAPAN)は2015年11月13日、デジタルマーケティング分野で協業すると発表した。マーケティング支援クラウドサービス「Salesforce Marketing Cloud」と、「Yahoo! DMP」との間のデータ連携が可能になる。

 Marketring Cloud利用企業は、自社が管理する顧客情報とヤフーが持つ膨大なビッグデータを組み合わせて、マーケティングに活用できるようになる。セールスフォースは同日から連携利用の受け付けを始めた。Marketing Cloudの利用料とは別に、個別見積もりのオプション料金がかかる。データ連携に基づいて広告を配信する場合は広告料もかかる。

 セールスフォースの笹俊文執行役員(写真1)は、「自社が持つ限られた顧客情報を分析しても顧客動向をつかむには限界がある。この制約を補うための手段としてYahoo! DMPの情報が役立つと考え、協業を決めた」と説明した。

 セールスフォースは既に米国では複数のDMPベンダーと協業している。ヤフーの荒波修執行役員(写真2)は、「当社のサービスは日本のインターネットユーザーの約8割が利用しており、そこから得られる膨大なデータを持つ。精度の高い消費者動向データを、Marketing Cloud利用企業が顧客をより深く知るために利用してほしい」とアピールした。

 Yahoo! DMPは年間75億種類の検索キーワードの履歴や月間680億ページビューのアクセス履歴、ニュースや天気予報などを含む100以上のサービスの利用動向といったデータを解析し、独自に消費者のクラスターを作成している。特定の個人を識別する情報は提供しないものの、例えば「購買意欲の旺盛な顧客クラスター」「ブランドに対するロイヤルティが強い顧客クラスター」といった顧客の行動特性に関する情報を提供する。

 Marketing Cloudを利用する企業は、自社の顧客データベースとYahoo! DMPの顧客クラスターを組み合わせて、顧客の行動特性に応じた広告を配信できる。ヤフーはMarketing Cloud利用企業から年齢や性別などの属性データを受け取り、Yahoo! DMPの顧客クラスターとマッチングして広告を表示する。例えば、休眠顧客の活性化が課題になっている場合、自社の休眠顧客のデータをYahoo! DMPと連携させて、「今は休眠顧客になっているが購買意欲が旺盛な顧客」に対して、自社製品のことを思い出させるような広告を配信するような使い方が考えられる。広告は、Yahoo! JAPANのコンテンツページや提携サイトなどに掲載できる。