<b>写真1●ノバルス 代表取締役の岡部顕宏氏</b>
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写真1●ノバルス 代表取締役の岡部顕宏氏

 IoT(Internet of Things、モノのインターネット)の波が乾電池にもやってきた。ノバルス(代表取締役:岡部顕宏氏、写真1)は2015年11月11日、クラウドファンディングサービス「Makuake」で、スマホでコントロールできる乾電池型IoT製品「MaBeee」(マビー)の製品化プロジェクトを開始し、わずか1時間で目標金額を達成したと発表した(プレスリリース)。同プロジェクトでは、3888円から支援が可能になっている(Makuakeのプロジェクトページ)。来年には海外のクラウドファンディグサービスで出資を募ることも検討しているという。

 MaBeeeの正体は、単4形乾電池が入る単3形のケース(写真2)。Bluetooth通信機能を持つ基板を内蔵しており、スマートフォンからBluetooth経由で電圧をコントロールできる(写真3)。Bluetooth機能は、技術基準適合証明を取得済みのモジュールで実現しているという。

<b>写真2●単3形電池ケースのMaBeeeに単4形乾電池を入れる</b>
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写真2●単3形電池ケースのMaBeeeに単4形乾電池を入れる
<b>写真3●MaBeeeの試作品が内蔵する電子回路基板</b>
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写真3●MaBeeeの試作品が内蔵する電子回路基板

 例えば、ミニ四駆やプラレールといったおもちゃの電池としてMaBeeeを入れることで、本来はスピードを変えられないこうしたおもちゃでもスピードを変えられるようになる。同社は試作品によるデモを行っており、「スマホを振って走らせる」「スマホを傾けてスピードを変える」「スマホを近づけると走り出す」「スマホに話しかけると走り出す」「画面のボタンでオン/オフする」といった操作が可能になっている(写真4)。

<b>写真4●スマホのボタンでミニ四駆を走らせたり止めたりできる</b>
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写真4●スマホのボタンでミニ四駆を走らせたり止めたりできる

 岡部氏はもともとセイコーインスツルで製品企画を担当しており、Bluetooth搭載時計のための「BT Watch」という規格の策定などを手がけていた。MaBeeeの開発が始まったのは、様々な企業の会社員が、自社では製品化が難しいアイデアを持ち寄るいわゆる“ヤミ研”でのことだ。電池型の製品のアイデアが出たのは約1年半前。そこから開発を始め、2015年4月にはMaBeeeを製品化するためにノバルスが設立された。

 開発中の製品は通信機能としてBluetoothを採用しているが、3G通信機能の採用も検討しているという。MaBeeeがインターネットに直接つながるようになれば、IoTとしての応用範囲は飛躍的に広がる。また、ノバルスではMaBeeeとはまったく異なる製品の開発も進めているという。なお、MaBeeeという名前の由来は、開発を行っている3人の技術者の頭文字だとのことだ。