写真●「時空間データ横断プロファイリング」のデモをするNECの江村克己執行役員
写真●「時空間データ横断プロファイリング」のデモをするNECの江村克己執行役員
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 「2020年度までに人工知能(AI)関連事業で累計2500億円の売り上げを実現する」――。NECの江村克己執行役員は2015年11月11日、同社主催の「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO 2015」に先立って開催した記者会見で力を込めた(写真)。AI関連事業の要員数は2020年度までに2倍に増強する。人的リソースを集中投下し、2015年度単年で300億円程度のAI関連事業の売り上げを、2015~2020年度の6年間で累計2500億円に引き上げる計画だ。

 NECは同日付で新技術「時空間データ横断プロファイリング」を発表した。複数の映像データに出現する人物を高速に検索できる技術だ。今までは時間や場所の異なるシーンに現れた人物が、同一人物かどうかを特定するのに膨大な照合作業が必要だった。

 「時空間データ横断プロファイリング」では、類似度によって階層的にグループ化するデータ管理手法を採用。新しいデータを追加する際は、各グループの代表的なデータと比較するだけでどのグループに属するかを即座に判断、分類でき、高速な検索を実現した。2016年度中に本技術の実用化を目指す。

 NECは適用分野の一つとして、不審者検知などを挙げる。例えば防犯カメラを使って、ある場所に頻繁に出現する人物を特定し、不審者をリアルタイムで発見するといったことが可能になるという。実証実験では、24時間撮影した防犯カメラに出現したのべ100万人の人物に対する検索作業を10秒で完了できた。将来は、こうした防犯用途以外にも購買行動の分析といったマーケティング分野などへの応用も想定する。

 NECは、蓄積してきたAI関連の要素技術をソリューションに仕立てた上で提供していく方針だ。ソリューション化を後押しするためアナリティクススキルを持つ要員を中心に体制を強化、AI関連要員を2020年度までに現在の500人から1000人にする。