写真1●日本IBMの池田和明執行役員
写真1●日本IBMの池田和明執行役員
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 「全世界の経営者は“ウーバライゼーション”に強い関心を示していることが分かった」。日本IBMの池田和明執行役員(写真1)は2015年11月4日、米IBMが実施した調査「グローバル経営層スタディ」の内容を解説する記者発表の場でこう話した。

 ウーバライゼーションとは、米ウーバーがタクシー業界に衝撃を与えたように、これまでとは全く異なるビジネスモデルでデジタル企業が市場参入することによって、その業界の状況が大きく変わる現象を指す。グローバル経営層スタディでヒアリングした結果、このウーバライゼーションについて言及する経営層が多かったという。

 統計にもその傾向が表れた。「今後3年から5年で自社に影響を与えるトレンドは何か?」を聞いた設問では、経営層の66%が、これまでの業界の定義が崩れ、複数の業界が融合したり新しい業界が生まれることを指す「インダストリー・コンバージェンス(業界の統合・融合)」であると回答した(図1)。「CEO(最高経営責任者)、CFO(最高財務責任者)、CIO(最高情報責任者)、CMO(最高マーケティング責任者)など、どの経営層に聞いても、この項目が1位だった」(池田執行役員)。

図1●世界の経営層は「業界の統合・融合」を懸念
図1●世界の経営層は「業界の統合・融合」を懸念
(出所:日本IBM)
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 さらに、他業界からの競合の台頭を危惧している経営層は54%いた。前回の2013年の調査では43%だったので増加傾向にあるという(図2)。

図2●過半数の経営層は、他業界からの競合の参入を危惧している
図2●過半数の経営層は、他業界からの競合の参入を危惧している
(出所:日本IBM)
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 グローバル経営層スタディは米IBMが継続的に実施している全世界調査。18回目となる今回は、70カ国超、5247人の経営層に調査した。