写真●NECの遠藤信博社長
写真●NECの遠藤信博社長
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 NECは2015年10月29日、2015年4~9月期の連結決算を発表した。売上高は前年同期比1.3%減の1兆3081億円、営業利益は38.0%減の133億円と減収減益だった。「エンタープライズ」セグメントが好調だったものの、「パブリック」、「テレコムキャリア」セグメントが不振だった。通期の業績予想は据え置いたものの、7月末に策定した上期の社内計画に比べ、売上高で300億円、営業利益で80億円下回った。

 決算会見に臨んだNECの遠藤信博社長は、「計画は下回ったが、中期経営計画の最終年度として目標をしっかりと達成する」と力を込めた(写真)。「マイナンバー関連案件が堅調で公共分野の伸びが力強い。国内通信キャリアの投資も第2四半期に回復基調にシフトしており、リカバリーできる」(遠藤社長)とし、下期に巻き返せるという見立てを示す。

 「パブリック」セグメントは売上高が3346億円(前年同期比2.9%減)、営業利益は126億円(42.5%減)と減収減益。マイナンバー関連需要を取り込み、地方自治体向けなどの公共分野は好調だったが、官公庁向け大型案件の反動減で売り上げが減少した。社会インフラ事業での拡販活動への投資や不採算案件の増加が、営業利益を押し下げた。「年間での不採算額は例年並みに抑えられる」(川島勇取締役執行役員常務)見込みだという。

 「エンタープライズ」セグメントの売上高は1466億円(前年同期比15.7%増)、営業利益が90億円(298.6%増)で増収増益だった。流通・サービス業、製造業でそれぞれ大型案件を獲得したことで、売上高が伸びた。下期も堅調とみる。

 「テレコムキャリア」セグメントは減収減益。売上高は3275億円(前年同期比1.5%減)、営業利益は103億円(前年同期比38.2%減)だった。海洋システム事業など海外案件は増加したが、国内通信キャリアの投資抑制が影を落とした。

 「システムプラットフォーム」セグメントは売上高3478億円(前年同期比0.7%増)、営業利益が107億円(前年同期比22.6%増)。PCサーバー出荷などが好調だった。

 SDNやサイバーセキュリティといった注力領域には、前年同期比で60億円上回る120億円の戦略投資を実施。サイバーセキュリティは売上高ベースで前年同期と比べて7割強の増加になるなど、投資効果が出始めているという。

 NECは2016年3月期が3カ年の中期経営計画の最終年度に当たる。「今年10月から次期中期経営計画の検討に入っている」(遠藤社長)という。次期中期経営計画の柱は海外事業の確立だ。現在は20%台前半で推移する海外売上高比率を、30%に引き上げることを一つのターゲットとする。「セーフティ」、「ネットワーク」など4つの注力分野で事業基盤を確立し、海外で積極展開していく方針を示した。