写真1●デジタル・ナレッジ、取締役COOの吉田自由児氏
写真1●デジタル・ナレッジ、取締役COOの吉田自由児氏
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 2015年10月28日に開催したeラーニング専門イベント「eラーニングアワード2015フォーラム」に合わせて、関連ベンダー4社がeラーニングの新製品を発表した。直近の話題としては、デジタル・ナレッジが10月28日付けで、eラーニングの履修データなどをビッグデータ分析するツール「Analytics+(アナリティクスプラス)」を提供開始した。ドリコムと楽天の合弁会社であるReDucateは、英語学習アプリ「楽しく身につく英語学習きこえ~ご」を10月26日にアップデートした。

 デジタル・ナレッジが提供開始したAnalytics+は、「eラーニング受講者の履修データや活動データを対象にしたビッグデータ分析エンジン」(デジタル・ナレッジ、取締役COOの吉田自由児氏、写真1)である。eラーニングの運営に必要な機能を備えたLMS(ラーニング管理システム)ソフト「KnowledgeDeliver」または履修データなどのログデータを収集/蓄積するソフト「Mananda」のいずれかを使用中のユーザー向けに、オプション機能として無償で提供する。これにより、LMSのログやManandaで蓄積したログデータ群を分析できるようになる(図1)。

図1●Analytics+では、蓄積した学習履歴データをビッグデータ分析し、レコメンドなどのアクションにつなげられる
図1●Analytics+では、蓄積した学習履歴データをビッグデータ分析し、レコメンドなどのアクションにつなげられる
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 ビッグデータの分析と可視化の機能は無償で提供し、レコメンド(受講者の履修傾向から次の教材を推薦)やアダプティブラーニング(受講者の理解度や苦手領域などを判断して受講者のレベルに合った学習項目を提示)といったアクションを自動で実行する機能を有償で提供する。データ分析においては、項目間の相関関係も分析する。これにより例えば、試験に合格させるためにはどのような活動を進めれば効果的なのかが分かる。

社員のリスニング力を鍛える英語学習アプリも登場

図2●英語学習アプリでは、リスニング学習用に多数の動画を用意した
図2●英語学習アプリでは、リスニング学習用に多数の動画を用意した
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写真2●ReDucate、代表取締役社長の石井学氏
写真2●ReDucate、代表取締役社長の石井学氏
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 一方、ReDucateは今回、英語学習アプリをアップデートした。初期版は2015年8月にAndroid版を、2015年9月にiOS版をリリースしている。英語の聞き取り(リスニング)に着目した英語学習アプリであり、動画閲覧による学習や、文章の並び替え、単語選択といった各種の方法で学習できる(図2)。基本機能は無償で利用でき、一部機能を有償で提供する。ReDucate社長の石井学氏(写真2)は、「一般消費者だけでなく企業でも社員教育などに使ってほしい」としている。

 発表会では、学校の児童/生徒や教員に向けた製品も発表された。このうち、受験/学習用の教材などを手がけるZ会とZ会ラーニング・テクノロジは、タブレットを利用した学習教材について、2016年春に実施するリニューアルの内容を説明した。例えば、高校受験コースに、アダプティブラーニング(生徒の理解度に合わせた学習項目を提示)を取り入れる。また、学校/教員向けの学習支援ソフト「StudyLinkZ」をリリースするという。

 ゲームプラットフォーム企業のグリーは、情報モラルを学べる中学生向けのスマートフォン向けアプリ「魂の交渉屋とボクの物語」を2015年9月にリリースした。全5章(ネット炎上、出会い交際、ネット依存、ネット犯罪、ネットいじめ)にわたる10種類のストーリーで構成する。これまでは紙の教材を小学生向けに提供してきたが、中学生のニーズに合わせてスマートフォンアプリの形で新規に用意した。今後は、教員用に、同アプリを利用した学習指導ガイドライン(学習指導の骨子と、10種のストーリーの解説)を作成するとしている。