写真●東京電力の本社
写真●東京電力の本社
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 経済産業省が2015年10月27日に開催した電力基本政策小委員会で東京電力は、2016年4月の電力小売りの全面自由化に向けた基幹系システムの開発進捗について報告した。既に結合テスト・総合テスト工程に差し掛かっており、現時点では予定どおりの進捗とした一方で、一定の遅延リスクがあることを説明した(写真)。

 東京電力は2016年4月1日をめどに、ホールディングカンパニー制への移行を予定しており、持ち株会社および「発電事業会社」、「送配電事業会社」、「小売り事業会社」に分社化する(関連記事:東京電力に迫る自由化対応、投資額は約600億円)。今回、送配電事業会社(2016年4月1日から東京電力パワーグリッド)の基幹系システムである託送業務システムの構築状況を公表した。

 託送業務システムは、電気購入先の切り替え手続きや料金計算を担う。東京電力は、主要な開発は2015年12月末に完了するとしており、来年4月の全面自由化に間に合うか否かのおおまかな判断ができるとした。

 ただし余裕のあるスケジュールではない。システム移行は2016年2~3月に実施する見込み。少しでも開発遅延が生じれば間に合わない。東京電力は大量のデータ移行を要することなどをリスク要因として挙げ、万が一、託送業務システムが全面稼働できなかった場合の対処方針について、政府の協力を求めた。

 託送業務システムに限らず東京電力の基幹系システム開発は当初から、2016年4月という期限が決まっていた一方で、政府の議論などが進まなければ要件が確定し切れないという難しさを抱えていた。2014年4月の本誌取材に対して東京電力は、「業務要件を仮決めしてどんどん走っていかなければならない」としていたものの、ギリギリの日程になっている。年末までの2カ月が大きな山場となる。