「我々はクラウドのインフラストラクチャーサービスで、米Amazon.comと競合する。米IBMではない」。米OracleのLarry Ellison会長兼CTO(最高技術責任者)は2015年10月25日(米国時間)に米サンフランシスコで開幕した年次イベント「Oracle OpenWorld 2015」の基調講演でこう語り、パブリッククラウドの領域に注力する姿勢を強調した。

 「当社の過去20年間における最大の競合は、IBMと独SAPだった。しかし我々はこの2社に対してもう注意を払っていない」。そう語るEllison会長(写真)が競合だと明言するのは、IaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)の領域ではAmazon、PaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)の領域では米Microsoft、SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)の領域では米Salesforce.comと米Workday。Ellison会長は「SaaS、PaaS、IaaSの三つを手がけているのはOracleとMicrosoftだけだ」と語り、Oracleがパブリッククラウドにおける有力プレイヤーになるとの意志を表明した。

写真●米OracleのLarry Ellison会長兼CTO(最高経営責任者)
写真●米OracleのLarry Ellison会長兼CTO(最高経営責任者)
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 パブリッククラウドに関しては、米Hewlett-Packard(HP)が2016年1月でのサービス撤退を発表したばかり。HPはパブリッククラウドを求める顧客に対してAmazonの「Amazon Web Services(AWS)」やMicrosoftの「Microsoft Azure」を使ったシステム構築サービスを提供すると述べており、AWSやMicrosoftに白旗を揚げた格好だ。既存の大手ITベンダーのライバルがパブリッククラウドで苦戦する中、OracleのEllison会長はAWSやMicrosoftに対して真っ正面から対抗すると宣言した。