NTTデータは2015年10月22日、共同利用型インターネットバンキングサービス「AnserParaSOL」に、API(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)連携機能を追加すると発表した。2016年3月までに提供を始める。AnserParaSOLを利用する銀行などは外部のFinTechサービスと接続することで、自行のインターネットバンキングの魅力を高められるようになる。法人向けのインターネットバンキングサービスである「AnserBizSOL」にも、同様の機能追加を検討する。

 AnserParaSOLは、銀行が個人顧客向けにインターネットバンキングを提供できるようにするサービス。横浜銀行などの地方銀行を中心に、約60の金融機関が利用している。今回追加するAPI連携機能によって、まずはマネーフォワードやfreeeが提供するFinTechサービスと接続できるようにする。NTTコミュニケーションズ、弥生のサービスにも対応する見込みだ。

 AnserParaSOLのAPI連携機能を使えば銀行は、インターネットバンキングとPFM(個人財務管理)やクラウド会計といった外部のFinTechサービスと接続できるようになる。人気のFinTechサービスと連携させ、自行が運営するインターネットバンキングの競争力を向上させることが可能だ。

 PFMサービスなどは銀行口座の取引情報を照会するためにこれまで、ユーザーである個人や個人事業主からインターネットバンキングのIDとパスワードを預かる必要があった。ただしAPI連携した銀行の口座情報であれば直接取り込める。IDやアカウント情報を渡すことに不安を感じるユーザーにも、サービスを使ってもらいやすくなる。

 AnserParaSOLのAPI連携先として確定しているマネーフォワードとfreeeは、NTTデータが2014年12月に主催したオープンイノベーションコンテスト「豊洲の港から」での最優秀賞と優秀賞を獲得した企業。以降、協業に向けて検討を重ねてきた(関連記事:富士通、NTTデータ、日本IBMがFinTechに本格参戦、仲人役に次々と名乗り)。およそ10カ月を掛けて事業化のメドをつけた格好だ。

銀行APIの公開が加速する可能性も

 PFM事業者などを中心に、金融機関のAPI公開を求める声は少なくない。マネーフォワードは「Open Bank API」プロジェクトを掲げ、熱心に働きかけを進める1社だ。2015年8月には、住信SBIネット銀行とのAPI連携を実現。同社によると、外部サービス向けに銀行が公式APIを公開するのは世界的にも稀だという。

 マネーフォワードの浅野千尋取締役CTO(最高技術責任者)は、「銀行とのAPI連携は創業当初からのビジョン。銀行がAPI公開するのに10年は掛かると思っていたが、予想以上に早く実現できそうだ」とし、「NTTデータがサービス提供する意義は大きい」と説明する。

 AnserParaSOLのAPI連携機能を使うかどうかは利用行の選択に任される。銀行によるAPI公開が一気に進むかは不透明だが、弾みになることは間違いなさそうだ。