富士通ベトナムの工藤 成社長
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富士通ベトナムの工藤 成社長

 2015年10月13日、富士通はベトナム・ホーチミン市でプライベートイベント「富士通アジアカンファレンス」を開催した。昨年度に続くASEAN地域でのシリーズイベントで、ホーチミンは2015年度の第1回である。カンファレンスには、ベトナムの顧客企業やパートナー企業が参加。オープニングの挨拶に立った富士通ベトナムの工藤 成社長は、「ICTを通じてベトナム社会の発展に貢献していきたい」と話した。

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 富士通アジアカンファレンスの目的は、現地における既存顧客・パートナーへの富士通の認知度アップと関係強化、そして「ソーシャルイノベーション」の訴求である。講演では、まず斎藤淳一執行役員Asiaリージョン長が登壇し、同社のアジア事業の概要を説明。アジアにおけるロケーション、人材、良好な気候や豊富な資源など、ベトナムを重視する理由を挙げるとともに、「ベトナムはこれから、農業、環境、ヘルスケアなど、いろいろな分野で、さらに発展していく。富士通はそれを支援していきたい」とメッセージを送った。

富士通の斎藤淳一執行役員Asiaリージョン長
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富士通の斎藤淳一執行役員Asiaリージョン長

 斎藤Asiaリージョン長の次には、ベトナム・ポスト&テレコミュニケーショングループ、副ゼネラルマネージャーのト・マン・クオン(To Manh Quong)氏がゲストスピーチで壇上に立った。同氏は「ベトナムでのICT活用における通信事業者の役割」と題して、ブロードバンドが広がりつつあるベトナムのICT環境や、ICT活用の実情・動向などを紹介した。

ベトナム・ポスト&テレコミュニケーショングループ、副ゼネラルマネージャーのト・マン・クオン(To Manh Quong)氏
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ベトナム・ポスト&テレコミュニケーショングループ、副ゼネラルマネージャーのト・マン・クオン(To Manh Quong)氏

 続く基調講演には、木滑幹人常務理事グローバルマーケティング本部長が登壇。「イノベーションを起こしていくためには、人、情報、そしてインフラを融合させて変革していく必要がある」として、同社の「Human Centric Innovation」という考え方を説明するとともに、具体的な例を交えながら同社が手掛ける事業を紹介した。

イノベーションのカギは「人」

 例として最初に挙げたのは位置情報クラウド「SPATIOWL」。車の位置、時刻、速度などのデータを収集して分析し、渋滞状況や目的地までの所要時間などの情報を生成、提供するサービスである。既に日本で採用例があるほか、インドネシアの高速道路向け交通情報提供や、フィリピンの電動三輪タクシー向け情報提供などでも採用されている。後者は、最寄りの充電スポット、最も電力消費の少ないルートを案内するものだ。これらは主にクルマを対象とした交通高度化の例だが、シンガポールではさらに、一歩先を目指している。SPATIOWLを人口過密や交通渋滞の問題解決、資源の有効活用など、より幅広い社会課題の解決に活用しようと、富士通、シンガポール科学技術庁、シンガポール経営大学で共同研究を始めたという。