図●大手広告主企業の動画広告出稿率(経年変化、サイバーエージェントの資料より)
図●大手広告主企業の動画広告出稿率(経年変化、サイバーエージェントの資料より)
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 サイバーエージェントは2015年10月16日、国内大手企業の動画広告利用動向に関する調査結果を発表した。2015年は4割近くの企業が動画広告を出稿する見通しで、16年には出稿率は半数を超えると予測した。6割近くの企業が予算を14年以上にするなど、動画広告への積極姿勢が目立っている。一方で出稿したことのない企業の5割近くは「効果が未知数」と回答、評価指標の確立が課題として浮かび上がった。

 調査はシード・プランニングと共同で実施した。サイバーエージェントは同日付で、動画広告に関する調査組織「オンラインビデオ総研」を設立した。

 調査期間は2015年6月~8月。日経広告研究所「2014年度有力企業の広告宣伝費」に掲載されている大手広告主企業、および年間売上高が500億円規模の大手企業1650社、ビデオリサーチインタラクティブ「Web Ads Report Advance」(2014年版)のPCインターネット広告出稿額上位1000社を対象に、重複を省いて調査した。

 動画広告を出稿したことのある企業は全体としては少ないものの、比率は年を追って急増()。14年実績は20.0%、15年は37.8%に高まる見通しだ。

 動画広告を出稿する目的を複数回答で尋ねたところ、「認知獲得」が9割超で最多。「Webサイトへの誘導」(50.0%)、「想起の獲得」(45.8%)と続いた。「Webサイトへの誘導」を目的とするのは、商品やサービスの直接的な購買を目的とした「ダイレクト広告」に多く見られる。一方、「想起の獲得」はブランドイメージ向上を図る「ブランディング広告」に多い特徴だ。

 一般にダイレクト広告とブランディング広告の目的は、それぞれ異なることが多い。動画広告が両方を備えている点について、同社は動画広告の出稿目的が多様であることを示す特徴であると分析している。

 動画広告予算の予定については、2015年の予算を14年に比べて「増やす」との回答は全体の36.8%、「同等」が21.1%。約6割が前年以上の出稿を予定している一方で、「未定」との回答は36.8%だった。

 増減を決めかねている企業が4割近くに上った理由として考えられるのが、広告効果を測る指標の不在。動画広告を出稿したことのない企業にその理由を尋ねたところ、「動画広告の効果が未知数」という回答が48.1%で最も多かった。動画広告を評価する指標が業界内で統一されておらず、掲載する媒体サイトによって指標が異なっていることが主な要因とみられるという。