米ウイスコンシン州西地区の米連邦地方裁判所は現地時間2015年10月13日に、米Appleがモバイル端末向けプロセッサに関して米ウィスコンシン大学の特許を侵害したとする判決を下したと、複数の海外メディア(英Reuters米Engadget米CNETなど)が報じた。

 ウィスコンシン大学マディソン校の特許管理団体であるWisconsin Alumni Research Foundation(WARF)は、Appleが「iPhone」および「iPad」の一部モデルに搭載しているプロセッサに同大学の特許技術を不正使用したとして、2014年1月に同社を提訴していた。

 WARFが問題としているのは、1998年に取得した特許(米国特許番号は「5,781,752」、タイトルは「Table based data speculation circuit for parallel processing computer」)で、プロセッサの処理速度を大幅に向上する技術に関するもの。

 WARFが特許侵害だとするAppleの「A7」「A8」「A8X」プロセッサは「iPhone 6」「iPhone 6 Plus」やiPadの複数のモデルに使われている。Apple側は、同特許が無効であり、特許侵害はないと主張していた。

 しかし地裁は同特許の有効性を認め、Appleが使用許可無く同特許を用いた技術を自社プロセッサに組み込んだと判断。地裁は今後、Appleに課す賠償金額を決める段階に移る。WARFは8億6240万ドルの損害賠償を求めている。

 WARFはAppleの直近のプロセッサ「A9」「A9X」も同特許を侵害しているとして、今年9月に新たに訴訟を起こしている。A9やA9Xは、iPhoneの最新モデル「iPhone 6s」「iPhone 6s Plus」に搭載されているほか、11月リリース予定の大型iPad「iPad Pro」に使われる。

 なお、WARFは同じ特許を巡って、2008年に米Intelを特許侵害で提訴している(関連記事:ウィスコンシン大学の特許管理団体がIntelを提訴,プロセサ高速化特許の侵害で)。両者は裁判所で争うことなく2009年に和解した。和解金については明らかにしていない。