図1●「J:COM MOBILE」の販売を10月29日開始
図1●「J:COM MOBILE」の販売を10月29日開始
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図2●J:COMオンデマンド利用時のパケットは無料
図2●J:COMオンデマンド利用時のパケットは無料
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図3●J:COMオンデマンド利用であればたくさんテレビを見ても通信料金は同じ
図3●J:COMオンデマンド利用であればたくさんテレビを見ても通信料金は同じ
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図4●初期設定(スマホの場合)
図4●初期設定(スマホの場合)
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図5●初期設定(タブレットの場合)
図5●初期設定(タブレットの場合)
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図6●料金体系(スマホセットの場合)
図6●料金体系(スマホセットの場合)
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図7●料金設定(with タブレットの場合)
図7●料金設定(with タブレットの場合)
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図8●料金設定(SIMのみの場合)
図8●料金設定(SIMのみの場合)
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図9●J:COMアプリ群
図9●J:COMアプリ群
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 国内最大のMSO(ケーブルテレビの統括運営会社)であるジュピターテレコム(J:COM)は2015年10月13日、MVNO(仮想移動体通信事業者)事業に参入すると発表した。新サービス「J:COM MOBILE」の販売を、10月29日に全国のJ:COMエリアにおいて一斉に開始する(図1)。

 J:COM MOBILEは、KDDIの4G LTE網を利用する。au VoLTEにも対応する。そして最大の特徴が、ケーブルテレビならではのサービである「J:COMオンデマンド」のモバイル利用時に、データ通信量をカウントしないことである(図2)。

 J:COMオンデマンドは、同社の有線を使った多チャンネル放送「J:COM TV」サービスへの加入に提供している。総配信本数は5万5000本(2015年9月1日現在)で、そのうち3万8000本がマルチデバイス視聴に対応する。

 このマルチデバイス視聴向けのアプリが「J:COMオンデマンドアプリ」であり、同アプリ使用時はデータ通信量カウントしない。つまり、外出先などでも、通信トラヒック量を気にせずに、J:COMの映像サービスをスマホ/タブレットで楽しめるようになる(ただしネットワーク混雑回避のため、前日までの直近3日間で通信量が合計で3GB以上の場合は通信速度を翌日にかけて制限する)。仮に、毎日1時間ドラマ(例えば640×360画素、1.3Mbps)を視聴すると月18GBに達するが、J:COMオンデマンドアプリ経由の視聴だとこの通信トラヒックは、料金にカウントされない(図3)。

 J:COMオンデマンドのもう一つの特徴が、「J:COM TVスタンダード」「J:COM TVスタンダードプラス」の加入者に提供しているライブ配信である。プロ野球やゴルフなどのスポーツ、ニュース、アニメなど全14チャンネルのライブコンテンツを無料で、外出先からも通信トラヒック量を気にせずに視聴できるようになる。

 ケーブルテレビによるMVNOサービスとして、充実を図ったのがサポート体制である。MVNOはサポートが不安といった声もあることを踏まえて、訪問による契約手続きのあと、端末を自宅に宅配、遠隔サポートで初期設定を行うなど、利用者が自宅にいながら利用開始までの全手続きが完了するフローを整えた(図4、図5)。

 加入後も月額500円の「おまかせサポート」の利用で、電話だけでなく訪問や遠隔サポートが受けられる。

 「J:COM MOBILE」は端末とセット販売する。まずは、日本初上陸となる折りたたみ式スマホ「LG Wine Smart」(LG Electronics製)を、J:COM限定のオリジナルモデルとして提供する。タッチパネルとテンキーの両方が利用可能。Google Playによるアプリのインストールもできる。

 同端末には、「J:COMオンデマンドアプリ」のほか、「緊急地震速報」アプリなどをプリインストールする。「ざっくぅ」のマークが描かれた「ざっくぅキー」を押すと、J:COM加入者向けサイト「MY J:COM」にすぐアクセスできる。

 利用コースとして、「J:COM MOBILE スマホセット[3GB]」を用意した(図6)。端末(スマートフォン)と音声通話・データ通信に対応したSIMカードをセットにして、月額基本料2980円(税抜)で提供する。キャンペーン(2016年1月11日まで)により、J:COMサービスと同時加入で端末代金が実質無料となる。

 さらに「J:COM TV」とセットで提供しているタブレットサービス「J:COM TV with タブレット」についても、今回のMVNOサービスによるLTE対応の新端末を10月29日から販売する(図7)。従来は無線LAN接続のみに対応していたが、MVNO開始に伴いLTE接続による宅外での使用が可能となる。「J:COMオンデマンドアプリ」利用時のデータ通信量(パケット)は月間のデータ通信量にカウントされないのはスマホセットと同様である。「with タブレット」サービスを利用するための「TV Everywhere料金」は月額980円(税抜)である。

 スマートフォン、タブレットともにワイヤ・アンド・ワイヤレス提供の公衆無線LAN「Wi2 300」を追加料金なしで提供する。提供エリア内であれば、ログインIDやパスワードを入力することなく、自動的に利用可能。

 このほか、日本ケーブルテレビ連盟が推進する「ケーブルスマホ」(NTTドコモの回線を利用)も10月29日から提供する(図8)。SIMカード単体の提供となる。「J:COM MOBILE SIM単体[3GB]」として、データ通信だけの場合は月額基本料900円(税抜)、音声通話とデータ通信セットの場合は月額基本料1600(税抜)となる。こちらは、「J:COMオンデマンド」のモバイル利用時に、データ通信量をカウントしないといったサービスの対象外となる。

 今後の計画として、セット提供する端末として2016年春頃をメドに、折りたたみではなくスレート型の防水スマホの投入を予定する。また、タブレットについても同時期に、10インチ型の防水タイプの投入を予定する。

 質疑応答やその後の囲み取材において、集中した質問が先行するスマートバリューとの関係である。これに対して「これまでスマートバリューを武器に、iPhoneを中心にスマホを販売してきた。我々は、テレビを中心にJ:COMのケーブル事業を伸ばしたいと考えている。今回のサービスはテレビを中心にMNOではできない料金体系やサービスを利用者に提案したいと考えた結果である。基本的にはスマートバリューとかにばらない層を開拓していく」「ケーブルテレビ利用の中心である50代、60代、70代の方々に映像を見てもらいたいので、J:COMとしてはフィーチャーフォンではなくスマホを提案していくことにした」(代表取締役社長の牧俊夫氏)などとと説明した。

 今回、J:COMオンデマンドでデータ通信量をカウントしない料金体系を実現できた理由について、「詳細はいえないが、Wi-Fiへのオフロードや、我々はL2での接続していて綿密に計算して、J:COMオンデマンドアプリ経由であれば無料で提供できると判断した」(牧社長)という。同社の関係者によると、「トラヒックのピークがテレビとモバイルで必ずしも一致していないことも大きな要因だった」という。

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