横河電機グループは2015年10月13日、シスコシステムズ日本法人と協業して、プロセス系製造業向けの情報システム構築サービスを始めた。第一弾は石油精製業に向けた、石油精製プラントの生産管理システムや制御システムの情報を統合するサービス。横河が持つ生産設備の自動化や運用の技術と、シスコの通信機器製品やクラウドサービス、セキュリティ技術を組み合わせる。企業再編や設備の統廃合の機運が高まる同業界における、制御・情報システムの統廃合需要増に対応する。

 横河電機の子会社で、国内の制御システム事業を担う横河ソリューションサービスとシスコが協業した。プラントの生産管理や品質管理、予実管理といった情報系システムと、生産設備の制御システム、MES(Manufacturing Execution System)と呼ぶ製造実行システムを、統合的に利用できるようにする。

 具体的なサービスは3種類。各システムの情報を収集・整理して、経営層や管理者などが閲覧できるようにする「統合情報レポート」の開発、工場ごとの生産状況や設備稼働状況の一覧・比較、BI(ビジネス・インテリジェンス)ツールを使った各種情報の分析である。

縮小する業界、システムの深い活用の需要に期待

 主に想定するのは、同一企業が持つ複数の工場を統廃合したり、同業他社同士が合併したりするケースだ。石油精製業界では生産管理やMES、制御システムを企業や工場ごとに個別開発することが多く、再編に伴うシステム統合にかかる手間とコストが課題になっている。政府によるエネルギー政策の見直しや国内の石油製品市場の縮小などで、石油精製業界は再編機運が向上。各システムのセキュリティを保ったまま、異なるシステムの情報を一元管理できるようにするニーズが高まっている。

 横河ソリューションサービスは市場縮小で新規システムの構築需要が先細る懸念の中、既存システムのより深い活用を支援する事業の構築を目指す考え。今後は石油化学や製薬など、他のプロセス系製造業にも同様なサービスを広げる。