米Amazon Web Services(AWS)は2015年10月7日(米国時間)、米ラスベガスで開催する年次イベント「AWS re:Invent 2015」で、BI(Business Intelligense)クラウドの「Amazon QuickSight」など、新サービスを発表した。AWSの売上高は、2015年度に1兆円を上回る見通しだ。

 「AWSの売上高は年率81%で成長を続けている。売上高が10億ドル(約1200億円)を超えるエンタープライズIT企業の中で最も高い成長率だ」。AWSを統括する米Amazon.comのAndy Jassy Senior Vice PresidentはAWS re:Inventの基調講演でこう胸を張った(写真1)。

写真1●米Amazon.comのAndy Jassy Senior Vice President
写真1●米Amazon.comのAndy Jassy Senior Vice President
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 2015年3月期のAWSの売上高は57億ドル(約6800億円)。このままのペースで成長が続けば、クラウドサービスの「Amazon S3」を2006年3月に開始してから10年目となる2016年3月期に、売上高が100億ドル(約1兆2000億円)に達する。

 AWS re:Inventの7日の基調講演には業務システムにAWSを利用しているユーザー企業として、米General Electric(GE)やクレジットカード大手の米Capital One FinancialなどのCIO(最高情報責任者)が登壇。AWSが大手企業にとっても、ITインフラストラクチャーの最有力の選択肢になっている実態をアピールした。

インメモリー型のデータ分析サービスを追加

 新サービスのAmazon QuickSightは、ユーザー企業の業務部門をターゲットとしたBIのクラウドだ。ユーザーはWebベースのツールを使って、データウエアハウス(DWH)などに蓄積した業務データを対象とした分析を実行できる(写真2)。Amazon QuickSightの中身は、AWSが自社開発した「SPICE」というソフトウエアだ。

写真2●BIクラウド「Amazon QuickSight」のレポート画面
写真2●BIクラウド「Amazon QuickSight」のレポート画面
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 SPICEは、DWHなどに蓄積されたデータを分析しやすい形に変換するETL(Extract/Transform/Load)ツール、データを高速に分析できるインメモリーのカラム型ストレージ、データ分析結果をグラフなどとして表現する可視化ツールで構成する。AWSのDWHクラウドである「Amazon Redshift」やDB(DB)クラウドの「Amazon RDS」、ストレージサービスの「Amazon S3」などに蓄積したデータをインメモリー処理できるため、Redshiftなどを使用するのに比べて分析処理が高速になるとしている。

 Amazon QuickSightのもう一つの特徴が、1ユーザー当たり月額9ドルからという月額料金だ。AWSのJassy氏は「既存のBIツールに比べて、価格は10分の1以下だ」とアピールする。