ソフトバンクグループのPSソリューションズは2015年10月7日、農作物の栽培に関するセンサーデータを可視化し、栽培手法や知見を共有するIoT(Internet of Things、モノのインターネット)製品群「e-kakashi」を、2015年10月14日に販売開始すると発表した(写真1)。提供開始は2015年12月下旬を予定している。
e-kakashiは温湿度、土壌水分、日射量などの各種センサーを取り付けるセンサーノード(子機)、子機のデータを集約・送受信するゲートウェイ(親機)、集約したデータを可視化したり栽培手法を記録したりするWebアプリケーションで構成される。
親機や子機は共同で事業を進めてきたパートナーである日立製作所が開発した。集約したセンサーデータも日立製作所が提供するクラウドサービス上に蓄積する。
PSソリューションズ 農業IoT事業推進部 部長の山口典男氏は、日本が抱える課題として就農者の高齢化に伴う技術の継承を挙げた(写真2)。e-kakashiによって「勘と経験に頼る栽培から脱却し、データに基づく科学的農業を推進する」(山口氏)と力を込めた。
e-kakashiの特徴はセンサーデータの集約や可視化を手軽に始められる点だ。子機に各種センサーを装着すれば、すぐにクラウド環境にデータを集約できる。クラウド上から制御用のソフトウエアを更新することで、現在非対応のセンサーも利用可能になる。
山口氏はこれまで農業のIT化が進まなかった理由を「使いやすいIT機器がなかったから」と説明する。農業関連のクラウドサービスでは、既に富士通のAkisaiなどがある。
これらのサービスの違いについて、山口氏は「これまでの農業クラウドは経営管理や流通支援が中心だったが、e-kakashiは栽培支援に特化したサービスで世界でも珍しい」と訴えた。