2015年9月30日から10月2日まで開催された「ITpro EXPO 2015」。最終日の10月2日、米エバーノートのフィル・リービン会長が講演した(写真1、写真2)。リービン氏は「未来を創るサービスの考え方―シリコンバレーで生まれるイノベーションの源泉」と題した講演で、PC、スマートフォン、ウエアラブルとデバイスが進化する過程で、サービスの設計思想をどのように変えていくべきかについて持論を展開した。

写真1●「未来を創るサービスの考え方―シリコンバレーで生まれるイノベーションの源泉」と題した講演
写真1●「未来を創るサービスの考え方―シリコンバレーで生まれるイノベーションの源泉」と題した講演
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 リービン氏は講演の冒頭、ウエアラブルコンピューターが今後2~3年で主流になると宣言した。「米グーグルの眼鏡型端末『Glass』や数々の腕時計型端末が思ったほど売り上げが伸びなかったことでウエアラブルコンピューターに将来があるのかと懐疑的な人もいるだろう。だが、それは違う」。

写真2●米エバーノートのフィル・リービン会長
写真2●米エバーノートのフィル・リービン会長
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 リービン氏は、「世代」でテクノロジーの進化を解説。第一世代での失敗を学んだ第二世代のプロダクトが登場することで、世に本格的に普及し始めるとした。リービン氏によれば、米アップルの「Apple Watch」はこの第二世代に当たるという。「メーンフレーム、デスクトップ、タブレット、モバイル、眼鏡型デバイス、腕時計型デバイスというように、進化を遂げていくなかで製品の設計に関わっていく人はどうデザインするかを考えなければならない」と主張した。

 そのキーワードとしてリービン氏が掲げた言葉が「SNACK-ification(スナック化)」だ。スナック菓子を食べるとき、多くの人は小さなインターバルで高い頻度でつまんで食べる。ソフトウエアの設計でこのスナック化を正しくとらえる必要があると主張した。

 「10年前を思い出してほしい。PCで使う時間は約2時間で、頻度は1日に1回から2回だった。当時、ソフトウエアの開発者は1日1~2回使うこの時間内にいかに生産性を上げるかを考えていた」と語るリービン氏。だが、ノートPCやラップトップPCの登場で、1回当たりのセッション時間は40分に短縮化され、その分、頻度が高くなった。現在、スマホの利用時はセッション数がさらに短くなり、1回当たりのセッションは約5分で頻度は1日に20回~30回。「1日2回、2時間利用する時代と、1日20回、5分利用する時代で生産性を上げるためのプロダクトのデザインが大きく変わってくることは一目瞭然だ」とリービン氏は主張した。