―「規模の経済」から「アイデアの経済」への移行はすでに始まっている。その世界で勝ち抜くにはアイデアの質とスピードの両方が重要だ―。日本ヒューレット・パッカード EGマーケティング統括本部 GTM企画本部 担当部長の佐藤雅代氏は、2015年9月30日から10月2日まで東京ビッグサイトで開催している「ITpro EXPO 2015」で開催された特別講演「『アイデア・エコノミー』の到来、そして来るべき変化―"HP"分社の背景と戦略」の中でこう語った(写真1)。

写真1●講演のテーマは「アイデア・エコノミー」。アイデアが経済を制する時代が到来した(撮影:菊池 一郎)
写真1●講演のテーマは「アイデア・エコノミー」。アイデアが経済を制する時代が到来した(撮影:菊池 一郎)
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 佐藤氏は講演の冒頭で、「HP分社化の背景と戦略を語るには、その前提として、規模の経済からアイデアの経済への移行について話をしなければならない」と切り出した(写真2)。佐藤氏は、アイデアの経済が既に始まっていることの事例として、配車サービスの「Uber」、宿泊あっせんの「Airbnb」、食品宅配の「インスタカート」を取り上げた。

写真2●日本ヒューレット・パッカードのEGマーケティング統括本部 GTM企画本部 担当部長の佐藤雅代氏(撮影:菊池 一郎)
写真2●日本ヒューレット・パッカードのEGマーケティング統括本部 GTM企画本部 担当部長の佐藤雅代氏(撮影:菊池 一郎)
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 佐藤氏は、2009年にスタートしたUberが、2014年~2015年にかけて1兆3200億円の売上高になると見込まれることを指摘。「わずか5年たらずで、日本のタクシー業界全体の売上高よりも巨大になってしまった」(佐藤氏)と語った。佐藤氏によれば、UberもAirbnb、インスタカートも「業界の常識、隙間を突くアイデアと、それを素早くビジネスに結び付けるために、モバイル、クラウド、ソーシャルといったテクノロジーを活用した。そして最初から世界中を相手にしたグローバル志向だった。これらがアイデア・エコノミー企業の特徴といえる」という。

 続けて、佐藤氏は、HPが分社化する理由について触れ、「アイデア・エコノミーが既に到来している今だからこそ、お客様に最善のサービスとテクノロジーを提供するために、さらにスピードを高める必要があった」と説明した。