写真●パソナテック Webソリューション事業部 クリエイティブ開発グループの鈴木真志マネージャー
写真●パソナテック Webソリューション事業部 クリエイティブ開発グループの鈴木真志マネージャー
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 パソナテックは2015年9月30日から10月2日まで東京ビッグサイトで開かれている「ITpro EXPO 2015」で、「インフラ担当者必見!最少コストで実現するクラウドシステム(Job-Hub)の冗長化」と題して講演した。Webソリューション事業部 クリエイティブ開発グループの鈴木真志マネージャーが登壇し、同社が手掛けるクラウドソーシングサービス「Job-Hub」のシステム基盤をいかに構築したかを披露。パブリッククラウドを活用して、情報システムを安価に冗長化するコツを語った(写真)。

 Job-Hubは、不特定多数の人材に対してオンラインで業務を依頼するクラウドソーシングサービスだ。「クラウドソーシング全体の市場規模は2017年度に約1500億円に達する見込みだ」(鈴木マネージャー)といい、パソナテックも力を入れているという。2015年には契約の一括管理機能などを提供する「Job-Hub Enterprise」という定額制サービスをリリースするなど、サービスラインアップの拡張を続けている。

 Job-Hubの本番系システムは、「AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)」と「Heroku」を組み合わせた環境で運用する。待機系システムは、さくらインターネットの仮想専用サーバー(VPS)サービスを活用しているという。

 当初はAWSとHerokuの組み合わせだけで十分な可用性を担保できると考えていたが、Job-Hubのサービス開始直前にAWSの大規模障害が発生。システムを冗長化することを決意した。とはいえ、新規事業の扱いだったため、当初のシステム構築ではコストが掛けられなかった。そこで、「パブリッククラウド自体を冗長化しようという考え方に至った」と、鈴木マネージャーは振り返る。

 現在は、本番系のコンテンツデータやダンプファイルを定期的に待機系でバックアップしている。いざ障害が発生すると待機系を起動、データをリストアしてサービスを復旧させるという。「復旧作業に優先順位をつけることで、サービスダウンの時間を低減させている」と、鈴木マネージャーは語る。直近3カ月の稼働率は99.98%だという。ダウンタイムは年間に直すと10分以内という計算だ。

 今後は、インフラ設定ツール「Chef」を使って待機系サーバーへのリストアを自動化したり、「Heroku Private Spaces」を活用して情報の機密性を高めたりといった取り組みに挑戦したいという。Heroku Private Spacesは2015年9月にベータ版がリリースされたもので、マルチテナントだったHerokuをユーザーごとに分離したスペースで使えるサービスだ。新たに東京リージョンのAWS上で利用できるようになったため、レスポンスの向上も期待できるという。