「クラウドならではのサービスで俊敏にシステムを構築するやり方が主流になる。サービスを一から開発する必要はないため、業務ロジックの差異化に集中できる」---。アマゾンデータサービスジャパンでマーケティング本部エンタープライズエバンジェリストを務める渥美俊英氏は2015年10月1日、ITpro EXPO 2015で講演し、クラウドが当たり前となった時代の「新しいITの常識」について事例を交えて解説した(写真1、写真2)。

写真1●講演の題目は「クラウドが変える『新しいITの常識』」(撮影:新関 雅士)
写真1●講演の題目は「クラウドが変える『新しいITの常識』」(撮影:新関 雅士)
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写真2●アマゾンデータサービスジャパンでマーケティング本部エンタープライズエバンジェリストを務める渥美俊英氏(撮影:新関 雅士)
写真2●アマゾンデータサービスジャパンでマーケティング本部エンタープライズエバンジェリストを務める渥美俊英氏(撮影:新関 雅士)
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 講演の結論として渥美氏が訴えたのは、クラウドサービスを利用することが当たり前となったクラウドネイティブ時代のシステム開発の姿である。クラウドネイティブでは、システムを一から開発することはせず、実現したいシステムを、クラウドならではのサービスを利用して俊敏に実現する。汎用的な機能や運用などを自動化することで、ユーザー企業はこれらの作業から解放される。

 クラウドネイティブの開発手法を取り入れた事例として渥美氏は、回転寿司チェーン「スシロー」を手掛けるあきんどスシローと、自動車買取・販売を手掛けるガリバーインターナショナルを紹介した。いずれもAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)を利用して実現している。

 スシローでは、10億皿のビッグデータを分析し、15分後の需要予測を実現している。中核サービスとして、大規模な分散データストリームをリアルタイムで処理するAmazon Kinesisを利用する。こうして集めたデータはDWH(データウエアハウス)のAmazon Redshiftに格納し、BI(ビジネスインテリジェンス)フロントエンドの「Tableau」で可視化している。

 ガリバーインターナショナルは、モバイル端末で動作する業務アプリケーションを使い、イベント駆動型で処理を実行する。中核サービスとして、イベント発生時にプログラムコードを実行するクラウドサービスであるAWS Lambda(ラムダ)を利用する。言うならばプログラム実行機能のホスティングサービスであり、仮想サーバーのインスタンスを立てることなく利用できる。