画面●IzumoFSの管理コンソール画面
画面●IzumoFSの管理コンソール画面
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写真●シンプルなノード構成であることをパネルでアピールしている(秘密分散によるセキュリティと費用の安さについてもパネルを掲げている)
写真●シンプルなノード構成であることをパネルでアピールしている(秘密分散によるセキュリティと費用の安さについてもパネルを掲げている)
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 IzumoBASEは、東京ビッグサイトで2015年10月2日まで開催中の「ITpro EXPO 2015」において、汎用PCサーバーとソフトウエアだけでスケールアウト型の分散ストレージを実現するSDSソフト「IzumoFS」を展示している(画面)。全ノードが同等の位置付けとなるシンプルなノード構成や、データを8個のピースに分割して分散配置することによるセキュリティの高さなどが特徴である。これまでは細々と販売してきたが、2015年9月30日に本格販売を開始した。

 IzumoFSでは、OSにLinuxを搭載した汎用PCサーバーにIzumoFSをインストールしたものがストレージノードとなる。これをネットワークで複数台つないでクラスタリングを構成し、単一のストレージプールを形成する。ここからSAN(iSCSI)やNAS(CIFS/NFS)のボリュームを切り出して利用する。ボリューム容量を仮想化するシンプロビジョニングやインライン重複排除、スナップショットなど、エンタープライズ向けの機能群を一通り提供する。

 IzumoFSの特徴の一つは、ノード構成がシンプルなことである(写真)。全ノードが対等であり、ネームノードやメタデータノードなどの特別な働きをするノードを外部に持たない。サーバーからのストレージアクセス(iSCSI、CIFS、NFS)は、すべてをノードがこれを直接受け付ける。バックエンドで、必要に応じてノード間でデータをコピーしたり移動したりする。

 全ノードが対等であることから、単一障害点を排除し、高可用性を実現している。データについては、冗長性を持たせて複数のノードにコピーを分散配置する(標準では3個に分割)。全ノードが対等であることからさらに、特定のノードが性能面でのボトルネックになることがなく、ノード台数に比例してリニアーに容量と性能を拡張できる。

 可用性に関連した他製品との差異化ポイントとして、ノードに障害が発生した際に、ストレージに負荷を与えるリバランス(クラスター全体でのデータ配置の最適化)の動作をしないようにしている。IzumoFSでは、故障したノードを取り外して新しいノードに置き換えると、それまで旧ノードが持っていたデータがそのまま新ノードに復元される。

 データ書き込み時には、他のノードへのデータコピーが完了してから書き込み処理が完了する信頼性の高いモードと、ローカルのキャッシュに書いた時点で処理が完了する高速なモードを使い分けられる。これにより、東京ノードと大阪ノードなどのように遠隔拠点にノードを分散した広域なクラスターを組む場合に、信頼性を犠牲にして高速化を図るといった選択が可能になる。

 IzumoFSのもう一つの特徴は、秘密分散によるセキュリティの高さである。データを8個のピースに分割してノードに分散配置することで、個々のピースが漏えいしても元データを復元できないようにしている。冗長性も確保しており、8個のうち4個のピースが揃えば元データを復元できる。IzumoFSは最小構成では3ノードで運用できるが、秘密分散を使う場合は、冗長性を考慮すると4ノード以上で使うことが望ましい。

 IzumoFSのライセンス費用は容量によって変わり、買取型と従量制から選べる。価格はオープンで、「ストレージベンダーのスケールアウト型NASストレージと比べて30%~60%安い」(説明員)。販売代理店は、クリエーションライン、ネットワークバリューコンポネンツ(NVC)、ユニアデックスの3社。ユニアデックスは、IzumoFSの24時間365日の保守サービスも2014年8月から提供している。