写真●「米本社に対して、日本市場に投資するよう訴える」と鈴木社長
写真●「米本社に対して、日本市場に投資するよう訴える」と鈴木社長
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 シスコシステムズ日本法人は2015年9月29日、2016年度の事業戦略を発表した。重点分野は「日本市場により根ざした事業展開」「顧客企業のデジタルビジネス推進」「製品やサービス事業を一体にした総合力の強化」の3点。特に重点を置いたのがデジタルビジネスの支援だ。IoT(Internet of Things)の同社版である「IoE(Internet of Everything)」やクラウドの活用で、顧客企業が新規事業創出や顧客サービス強化を支援する。

 「日本市場は人口減少への対応や多様性の向上、生産性の向上など様々な課題を抱えている。これらの課題解決の鍵がデジタル化。シスコの強みを生かし、顧客企業のデジタルビジネス推進をお手伝いする」。鈴木みゆき社長は新事業戦略をこう総括した。

 デジタルビジネス支援のためにシスコが特に注力するのが、同社のインフラ戦略であるIoEの推進。「他社との提携や資本参加を進めて、IoEのエコシステム全体の強化に努めたい」(IoE事業を統括する鈴木和洋専務執行役員)。同社は製造業向けソフト開発を手掛けるベンチャーのsmart-FOAへ2014年に出資。その後も東芝との提携や慶応義塾大学のIoT研究への出資などを実施してきた。今後も製造業を中心に、デジタルマーケティングやスポーツなどの分野でIoE事業を進めるという。

 日本市場に根ざした事業展開の一つとして打ち出したのが、手薄だった中小企業向け製品ブランドを新設したことだ。新ブランド「Cisco Start」は、管理機能や設定を簡素にしたり価格を抑えたりして、同社のネットワーク製品を従業員が25~100人程度の企業へ拡販する。

 総合力の強化に向けて実施した施策が営業体制の刷新だ。製品とサービスで分かれていた営業部隊を一本化した。「サービススペシャリスト」と呼ぶ担当部門が顧客企業の窓口になって両方を取り扱う体制に改めた。