写真1●2015年10月1日から国内で提供可能になったXterityをデモンストレーションして見せた
写真1●2015年10月1日から国内で提供可能になったXterityをデモンストレーションして見せた
[画像のクリックで拡大表示]

 イージェネラは2015年10月1日、基幹システム向けに可用性やDR(災害時復旧)機能に注力したIaaS型クラウドサービス「Xterity」を開始した。クラウド事業者への卸売りを介してユーザー企業に提供する。クラウド資源のコロケーション設備として、大手町にあるエクイニクスの東京第4データセンター(TY4)を利用する。イージェネラでは、実際にサービスを開始する用意が整ったことをデモンストレーションして見せた(写真1)。

 Xterityは、仮想サーバーだけでなく、ラックマウント型の物理サーバー機やネットワーク機器で構成する情報システム一式を、設定を含めて動的にプロビジョニング(配備)できるIaaS型クラウドサービスである(関連記事:イージェネラ、物理/仮想が混在のIaaSクラウドを国内で6月開始)。ベースとなるテクノロジーとして、サーバー資源管理ソフト「PAN Manager」と、クラウド運用ソフト「PAN Cloud Director」を利用する。

写真2●イージェネラ、マーケティング本部の保阪武男氏
写真2●イージェネラ、マーケティング本部の保阪武男氏
[画像のクリックで拡大表示]

 イージェネラ、マーケティング本部の保阪武男氏(写真2)は、Xterityの典型的な利用例を三つ挙げる。(1)IaaS型クラウドでありながら基幹システムに合ったSLA(サービスレベル)を得られること、(2)既存システムはそのままにDRサイトを安価に用意できること、(3)既存の仮想化システム(VMwareベース)をそのままIaaSクラウドに移行してシステム維持コストを減らせることだ。

 可用性については、PAN Managerが備えるサーバー多重化機能によって、稼働率99.99%(サーバー停止時間は1カ月当たり4分以下)の可用性を確保したという(関連記事:イージェネラ、サーバーリソース管理ソフトが汎用ラックサーバーに対応)。イージェネラによれば、他のクラウドサービスは稼働率99.9%から99.95%程度(1カ月のサーバー停止時間は1時間から7時間に相当)である。

 DRサイトについては、本番系サーバーのレプリケーションイメージを仮想サーバーの形であらかじめ作成しておき、災害時には、このイメージを使ってDRサイトを立ち上げる。DRサイトを常時立ち上げておく必要がないので、安価にDRを実現できる。データをレプリケーションするミドルウエアとして、米ファルコンストアのCDP(継続的データ保護)ソフトを使う。

画面●システムの構成要素をマウスでドラッグ&ドロップするだけでシステムを構築できる。月額料金も算出する
画面●システムの構成要素をマウスでドラッグ&ドロップするだけでシステムを構築できる。月額料金も算出する
[画像のクリックで拡大表示]

 クラウド事業者は、ユーザー企業からの受注に応じて、IaaS資源をオンデマンドで卸売りする形になる。ユーザー企業に提供するシステムの構成は、クラウド事業者がデザイナー画面を使って設計する(画面)。システム構成に応じて月額料金(見積もり額)が動的に決まる。基幹システムを対象としているので、ユーザー企業がシステム構成を直接変更することはない。

 エクイニクスのデータセンターを利用していることから、他のIaaSクラウドとの接続性が高いとしている(関連記事:データセンターの価値は通信事業者の数で決まる)。例えば、アマゾンウェブサービスのIaaSクラウドに専用線で直結するサービスである「AWS Direct Connect」の接続口も、エクイニクスのデータセンター内にある。Xterityは、世界6拠点(ワシントンDC、サンノゼ、東京、シドニー、ロンドン、フランクフルト)でエクイニクスのデータセンターを利用している。