Googleが、「Project Aura」と呼ばれるウエアラブル技術開発の取り組みを始めており、不振だった眼鏡型端末「Google Glass」が息を吹き返しつつあると、複数の海外メディア(米Business Insider米Wall Street Journalなど)が現地時間2015年9月17日に報じた。Googleはこのプロジェクトを後押しするため、米Amazon.comのハードウエア研究開発部門「Lab126」から消費者エレクトロニクスの専門家を雇い入れたという。

 Business Insiderによると、Project AuraはGoogle Glassの復活と、関連ウエアラブル技術の開発促進を主な目的として今年6月に発足したと見られている。同社はAmazon.comのLab126から、少なくとも3人の人材を雇い入れている。Project Auraには専門の人材スカウト担当者がおり、今後もさらに技術者を雇い入れる計画という。Amazon.comは最近、スマートフォン「Fire」の開発に携わったLab126の技術者を数十人解雇しており、Googleはこの機会を素早く狙ったとWall Street Journalは伝えている(関連記事:Amazon.com、独自スマホ「Fire」の製造・販売を終了)。なおGoogleにはモジュール型スマートフォンの開発プロジェクト「Project Ara」があるが、Project Auraはこれとは異なるとBusiness Insiderは伝えている。

 Googleは今年8月、「Alphabet」という新会社の傘下に各事業を置き、検索/広告事業や、先端技術開発、投資事業、医療関連事業などを個別に運営すると発表した。報道によると、Project AuraはAlphabet傘下の単独事業ではなく、Google従来事業の一環として運営されるもよう(関連記事:米グーグルが持ち株会社制へ、「より説明責任を果たせる」と創業者)。

 またProject Auraは、これまでのGoogle Glass部門同様、ファッション業界出身のIvy Ross氏が指揮し、スマートホーム事業Nest LabsのTony Fadell最高経営責任者(CEO)が統括する。ただし、今後Nest LabsがAlphabet傘下の個別事業になった際の所属については今のところ分からないとBusiness Insiderは伝えている。

 Googleは今年1月、Google Glassプロジェクトを次世代製品研究部門「Google X」から切り離し、個別部門に移管すると発表した。これに伴いベータテスター向け製品「Explorerエディション」を1500ドルで販売する早期導入プログラムを中止した。このことからGoogle Glassは失敗に終わったとの観測が流れていた。

 しかし、7月にGoogleが新たな無線対応端末の認可を米連邦通信委員会(FCC)から受けていたことが分かり、Google Glassの次世代モデルが年内に登場するのではないかとの噂が広がった。先ごろは同社が産業向け新バージョンの配布を密かに始めたと報じられた(関連記事:ドイツ物流大手、米国で「Google Glass」の試験導入を計画か)。