シスコシステムズは2015年9月16日、社員100人以下の中小企業をターゲットに定めて日本語化と低価格の二つを前面に打ち出したネットワーク機器の新ブランド「Cisco Start」を発表した。同日、Cisco Startの中核製品として、エントリークラスのVPNルーター新製品「Cisco 841M Jシリーズ」(写真1)を販売開始した。NTTレゾナントのオンラインショップ「NTT-X Store」での価格(8%消費税込み)は、最安価モデルが2年間の保守サポート付きで3万9800円。販売代理店はダイワボウ情報システムで、販売目標は初年度1万5000台。

写真1●Cisco 841M Jシリーズの外観
写真1●Cisco 841M Jシリーズの外観
[画像のクリックで拡大表示]
写真2●シスコシステムズ、執行役員、マーケティング本部、本部長の鎌田道子氏
写真2●シスコシステムズ、執行役員、マーケティング本部、本部長の鎌田道子氏
[画像のクリックで拡大表示]

 Cisco Startは、社員100人以下の中小企業に合わせたネットワーク機器の新ブランドである。当初は、新製品のルーターを中核に、既存製品でエントリークラスのスイッチや無線LAN機器をCisco Startブランドで販売する。社員100人以下の企業は、予算もIT管理者も少ないという特徴がある。この市場で求められる製品について、シスコシステムズ執行役員マーケティング本部本部長の鎌田道子氏(写真2)は、「設定画面が日本語化されていることと、サポートを含めた製品価格が安いことが絶対の条件」と説明する。

 新製品のCisco 841M Jでは、シスコシステムズとしては初めて、GUI設定画面を日本語化した(画面1画面2)。これにより、ITの専門家がいない中小企業でもルーターを設定できるようになった。これまでも、IT管理者向けのCLI(コマンドラインインタフェース)に加えて、WebでアクセスできるGUI設定画面が提供されていたが、画面は英語だった。GUI画面の日本語化によって、個人向けのルーター製品のように簡単に設定できるようになった。この一方で、OSは他の機器と同じくCisco IOSを搭載しており、これまで通りCLIを使った設定や管理もできる。

画面1●日本語化したGUI設定画面(ネットワーク設定)
画面1●日本語化したGUI設定画面(ネットワーク設定)
[画像のクリックで拡大表示]
画面2●日本語化したGUI設定画面(ダッシュボード画面)
画面2●日本語化したGUI設定画面(ダッシュボード画面)
[画像のクリックで拡大表示]

 ルーター単体の設定が簡単というだけであれば他社の個人向けルーター機器なども同様だが、昨今の中小企業の要求は大企業に似てきており、Ciscoブランドの需要が高まっているという。ネットワークの接続性だけでなく、ルーターの細かなセキュリティ設定や無線LANの管理といった企業向けの機能を求めているという。こうした中で、Cisco IOSの機能を日本語のGUI画面から利用できることには需要があるという。

 製品のサポートや販売面においても、中小企業から集めた声に応えるものにした。製品情報やサポート情報は、すべてWebサイトからオンラインで提供する。質門/回答したり交流を図ったりできるコミュニティーサイトも用意した。「必要な情報は全て日本語で掲載してある」(鎌田氏)。ECサイトを介したオンライン販売にも注力し、NTTレゾナントのECサイト「NTT-X Store」でCisco Startの販売を開始した。今後は他のECサイトへの展開も予定する。

 新製品のルーター、Cisco 841M Jシリーズ(2年間の保守サポート付き)の価格(8%消費税込み)は、NTT-X Storeの場合に以下の通り。(1)「Advanced Securityモデル」(WAN×2、LAN×4、基本セキュリティ機能)が3万9800円。(2)「Advanced Securityモデル」(WAN×2、LAN×4、拡張セキュリティ機能)が4万9800円。(3)「Advanced Securityモデル」(WAN×2、LAN×8、拡張セキュリティ機能)が8万5800円。ネットワークインタフェースは、いずれもギガビットイーサネット(1000BASE-T)。