図●PWS CUPのポスター
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 情報処理学会のコンピュータセキュリティ研究会 (CSEC研究会)が開催する「匿名加工・再識別コンテスト」(PWS CUP)に、ソフトバンクや静岡大、筑波大、東京大、明治大から計16チームが参加エントリーしたことが2015年9月14日、明らかになった。

 匿名加工は、2015年9月に成立・公布された改正個人情報保護法で、いわゆるビッグデータ活用を目的に設けた新たなデータ類型。改正法では、特定の個人を識別できないよう加工して、なおかつ個人情報を復元できないというデータと定義している。

 コンテストは第1回プライバシーワークショップ(PWS2015)として、匿名加工と再識別、疑似データ生成の3部門が行われる。それぞれの参加チームは独立行政法人統計センターが教育向けに公開している擬似ミクロデータを使って、予備選として匿名加工データや再識別データを提出する。10月21日の本戦で擬似ミクロデータや評価指標を改良し、リアルタイムで匿名加工や再識別に挑む。

 競技ルールによると、匿名加工部門では有用性と安全性を総合して審判員が勝者を決定する。再識別部門は最も多くの匿名加工データを正しく再識別したチームが勝者となる。疑似データの生成では、統計データから統計的な性質を保存したまま疑似データを作るプログラムを募集する。予備戦はニフティクラウド上の「匿名化処理プラットフォーム」を利用してオンラインで対戦し、本戦とともに両方の成績で総合優勝を決める。9月2日現在、筑波大のチームが首位という。

 改正個人情報保護法の成立で、企業で匿名加工の方法などを定める活動が本格化する。ただ、再識別のリスクはデータの特性に大きく依存し、様々な専門知識が必要という。PWS2015実行委員長の菊池浩明・明治大学総合数理学部教授は「共通のデータセットを使うこのコンテストは、それらの評価のための第一歩としてプライバシー保護に貢献することを目指している」と意義を述べている。

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