米Qualcommの子会社である米Qualcomm Technologiesは2015年9月10日(米国時間)、カメラ搭載ドローン(無人飛行機)の心臓部分となるプロセッサ搭載ボード「Snapdragon Flight」を発表した(写真1)。同ボードを搭載する「空飛ぶカメラ」は、2016年に300ドルで製品化される見通し。
Snapdragon Flightは、ハイエンドスマートフォン用プロセッサである「Snapdragon 801」と、同プロセッサを搭載したドローンのコントロールボード(写真2)、ドローンの飛行制御に必要となるソフトウエアなどから成る。Qualcommはドローンメーカーが同製品を採用することで、ドローンの開発期間を短縮したり、製造コストを削減したりできると主張している。
プロセッサのSnapdragon 801は、CPUに加えてGPU(グラフィックス処理ユニット)やDSP(デジタル信号処理)、無線LAN(Wi-Fi)機能やビデオエンコーディング機能などを一つのチップ上に搭載している。Snapdragon Flightはプロセッサの機能が豊富であるため、ドローンのリアルタイム飛行制御や4Kビデオの撮影、Wi-FiやBluetoothを使った無線通信、汎地球航法衛星システム(GNSS)を使った位置情報管理などを1枚のボードだけで処理できる。
ボードを1枚に集約してドローンを軽量化
Snapdragon Flightの商品化を担当した子会社、米Qualcomm AtherosのHugo Swart氏は「従来のドローンであれば複数枚のボードを用意しなければ実現できなかった機能を、Snapdragon Flightを使うことで1枚のボードだけで実現できるようになる。ボードの枚数が減ることで、ドローンの重量削減やコスト削減が実現できる」と述べる。
現在のドローンは価格が1000ドルを超えるものがほとんどだが、Swart氏はSnapdragon Flightを搭載したドローンは、部品点数の削減や軽量化が実現できることにより、市販価格で300ドルを下回るようになると主張している。
Qualcommは米サンディエゴで開催した記者会見で、Snapdragon Flightを採用したカメラ搭載ドローンの試作機を披露した(写真3)。Qualcommが披露したドローンは、タブレットのアプリケーションからの遠隔操縦が可能。操縦者は、ドローンのカメラが撮影する動画をタブレットの画面でリアルタイムに確認しながら、ドローンを操作できていた。
またこのドローンは、風が吹いた場合などでも、同じ場所にとどまり続ける機能を備えていた。これはSnapdragon Flightが備える「Optical Flow Detection」という機能で、本体下部のカメラで地面を撮影し、地面の模様を頼りに自身の場所を把握することで、飛行位置を補正している。
Snapdragon Flightを採用したカメラ搭載ドローンは2016年上半期に発売される予定。中国のドローンメーカーであるYuneecがSnapdragon Flightを採用することを発表している。