改正労働者派遣法が2015年9月11日、衆議院本会議で可決、成立した。施行日は同年9月30日となる。政府は今後、厚生労働省労働政策審議会での審議を経て政省令をまとめ、各労働局による説明会などで詳細な運用内容の周知を急ぐ方針だ。施行日まで既に3週間を切っており、「早急に手続きを進めていく」(厚労省)という。

 改正法案は6月19日に一旦衆議院を通過したものの、日本年金機構の個人情報流出などで参議院での審議に後れが生じた結果、元々条文に記載していた9月1日施行が難しくなっていた。施行日を9月30日に修正した改正法案が、9月9日の参院本会議で可決。条文に修正が加わったため、衆院で再び可決する必要があった(関連記事:改正労働者派遣法案がついに衆院可決)。

 今回の派遣法改正議論の始まりは、3年前に遡る。専門26業務の扱いなどについて検討を続けるべき、という附帯事項が前回法改正の際に盛り込まれたのを受け、厚労省の「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」が2012年に発足し、2013年8月に報告書を公表。同省「労働政策審議会」の専門部会が制度見直し案をまとめ、2014年の通常国会に改正法案が提出された。

 厚労省は当初、2015年4月施行を目指していたが、条文の記載ミスによって2014年の通常国会では成立せず、続く臨時国会では衆院が解散。2度の廃案に追い込まれ、「呪われた法案」とも言われた。今回、3度目の国会提出でようやく成立した。

 今回の改正法は、届出だけで事業を開始できる特定労働者派遣の廃止、ソフトウエア開発などを含む専門26業務の撤廃などを盛り込んでいる。いずれもIT業界と馴染みの深い制度で、派遣技術者の派遣先、派遣元の双方で影響が出そうだ。