Amazon.comが、スマートフォン「Fire」の製造と販売を終了したと複数の米メディアThe VergeMashablePCMagなど)が現地時間2015年9月10日までに伝えた。

 FireはすでにAmazon.comのWebサイトや米AT&Tで購入できない状態となっている。Amazonの担当者はThe VergeやMashableの取材に対し、「Fireフォンはすでに全世界のすべての在庫を売り尽くした」「今後在庫を補充する予定はない」と述べたという。

 今回の報道に先立ち米Wall Street Journalは、シリコンバレーにあるAmazonのハードウエア研究開発部門「Lab126」で、Fireフォンの開発に携わった数十人の技術者が解雇された、と伝えていた。同紙によると、Amazonでは一時期、機能を絞った低価格のスマートフォンを開発する計画もあったが、結局同社のスマートフォンプロジェクトは無期限延期になった。

 Amazonが昨年7月に発売した同社初のスマートフォン「Fire」は、ジェスチャー操作を可能にするセンサーシステム「Dynamic Perspective」や、画像と音声を認識してカタログと連携する「Firefly」といった独特の機能を特徴としていた。だがFireは結局Amazonの顧客だけが便利に使えるスマートフォンだったとMashableは伝えている。通信キャリアでは米AT&Tが独占販売していたが、その戦略も結果として多くの顧客を得る機会を失ったとMashableは指摘している。(関連記事:Amazon.com、独自スマホのFire を「1ドル」に値下げ、199ドルから)。

 Wall Street Journalによると、AmazonのLab126では「Shimmer」と呼ぶ画像プロジェクターや、手書き文字をショッピングリストに変換するデジタルペン「Nitro」、「Project Cairo」(コード名)という14型タブレットなども開発していた。だが、これらのプロジェクトもスマートフォン同様に、中断、あるいは縮小した。一方で「Kabinet」と呼ぶキッチンに設置するハイエンドコンピューターの開発は今も続けられているという。

 Amazonのハードウエア製品については先ごろ、同社が低価格のタブレット端末を年内に発売する計画を立てていると伝えられた(関連記事:Amazon.com、50ドルのタブレットを年内に市場投入する計画、米紙報道)。