米Appleが人工知能(AI)関連の専門家の採用を進めていると、英Reutersが現地時間2015年9月7日に報じた。パーソナルアシスタント機能で先行している米Googleに対抗するためと、同メディアは見ている。

 ReutersがAppleの求人情報から読み取ったところ、Appleは現在、機械学習などのAI分野に長けた従業員を少なくとも86人採用しようとしている。

 Appleはユーザーの行動を先読みして情報を提供する機能をアプリケーションに加える計画を明らかにしており、iOSには独自機能「Proactive」(開発コード名)が搭載されると伝えられている(関連記事:Apple、Google Now似の新機能「Proactive」を次期iOSに導入か)。Proactiveは「Spotlight」検索の進化版で、音声アシスタント機能「Siri」、連絡先、カレンダーや「Passbook」、さらに他社アプリケーションを活用し、ユーザーのデータおよび端末使用パターンに基づいて最適な情報をタイミングよく提供する。

 しかしAppleはプライバシー保護について厳格な姿勢をとっており、一部の専門家の意見では、急速に発展するAI分野で競争するにはこれが支障になっている。例えば、AppleとGoogleが投資しているディープラーニングなどは大容量のデータを必要とするが、Appleは各種サービスの情報保存期間を短く設定している。

 Googleは、次期Android「Android 6.0 Marshmallow」でパーソナルアシスタント機能「Google Now」を強化し、ユーザーの現在の行動を理解して次の行動に必要な情報を提供する「Now On Tap」を追加する予定だ(関連記事:Google、次期Androidの正式名称は「Marshmallow」)。こうしたサービスを実現するには、データをクラウド上に保存してやりとりする必要がある。

 もしAppleがAIとプライバシーのバランスをうまくとることができれば、今度はGoogleがプライバシーとのせめぎ合いに直面する可能性があると、米メディアら(The Vergeなど)は指摘している。