「Webサービス開発のハードルが、昨今、劇的に下がっている」。リクルートホールディングスが運営する、オープンイノベーションのためのコミュニティスペース「TECH LAB PAAK」(テック・ラボ・パーク)で行われたイベントでこう語るのは、同社Media Technology Lab. 室長の麻生要一氏だ。(写真1)。

写真1●リクルートのオープンイノベーション拠点TECH LAB PAAK
写真1●リクルートのオープンイノベーション拠点TECH LAB PAAK
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 麻生氏のこの感触は、リクルートが2006年から推進している、国内最大級のWebサービス開発コンテスト「Mashup Awards」の運営経験に基づくもの。同社が2006年にコンテストを始めた当初は「何かのデータを地図上に載せるものがほとんど」(麻生氏)だった。それが、最近では、応募作品の品質がぐんと向上したのだという。

 Webサービス品質の向上に大きく貢献しているのが、企業などが提供するAPIが充実したこと。2015年開催のMashup Awards向けに提供されているAPIの数は200を優に超える。これによって「サービスの組み合わせによってイノベーションを生み出す時代が、ようやく来た」(麻生氏)。

 麻生氏は、同社のオープンイノベーションの歴史を振り返った。Mashup Awardsを始めた2006年当時に打ち出した、「Webメディアの情報は、オープンであるべき」という思想が発端となり、2007年に「じゃらん」の空室検索API公開、2009年のmixiアプリへのサードパーティとしての参加などにつながっていく。

 こうした実践を経て、リクルートのオープンイノベーションは、さらに進化しているようだ。「当初は、リクルートの資産に外部の技術を組み合わせることで新しいサービスが生まれるという発想だった。つまりリクルートが主語だったが、最近では皆さんがやりたいことがあり、そこにリクルートの資産を組み入れてもらおうと考えるようになった」(麻生氏)。