米Intelは2015年9月3日(米国時間)、オランダのデルフト工科大学とオランダ応用科学研究機構(TNO)が共同運営している量子コンピュータの研究機関「QuTech」と今後10年間にわたって提携し、Intelが量子コンピュータ研究に5000万ドルを投資すると発表した。

写真●QuTechのWebサイト
写真●QuTechのWebサイト
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 Intelが提携するQuTech(写真)は、オランダ政府が2013年に設立した量子コンピュータの研究機関。オランダ政府は2015年6月に、今後10年間に1億3500万ユーロを量子コンピュータの研究に投じると発表している。今回、IntelがQuTechとの共同研究に5000万ドルを投資すると発表したことによって、日本円で240億円もの資金がQuTechを中心とする量子コンピュータ研究に投じられることになった。

 IntelやQuTechが研究するのは、いわゆる「量子ゲート方式」の量子コンピュータ。IntelのBrian Krzanich CEO(最高経営責任者)は同日に発表した書簡で「実現するまでには最低でも十数年以上(at least a dozen years)はかかる」と述べている。

 量子コンピュータには、汎用のコンピュータを目指している量子ゲート方式のほかに、組み合わせ最適化計算のみが解ける「量子アニーリング方式」がある。民間企業では米IBMや米Microsoftなどが量子ゲート方式の研究を続けているほか、量子アニーリング方式をカナダのD-Wave Systemsが商用化した。米Googleは量子ゲート方式と量子アニーリング方式の両方の研究を進めている。