衆議院は2015年9月3日、個人情報保護法とマイナンバー法の両改正案について、参議院の一部修正案を自民、民主党などの賛成多数で可決、成立した。国会同意人事を経て、2016年1月に「個人情報保護委員会」が発足し、新たな個人情報保護法を所管する。

 個人情報保護法の改正では、特定の個人を識別できる符号を個人情報と位置づけて、符号などを削除して復元できないようにした「匿名加工情報」の扱い方を定めた。またマイナンバー法改正で、行政機関が預貯金口座や特定健康診査(メタボ健診)などの管理にマイナンバーを利用できるようにする。

 両改正案を審議した参議院内閣委員会では、マイナンバー法の一部修正が提案された。修正案では、日本年金機構から個人情報の流出が判明したことを受けて、日本年金機構は一定の期間、マイナンバーの利用や特定個人情報の照会、提供を行わないとした。また、行政機関などが個人情報保護委員会の定期検査を受けることや、地方公共団体などが個人情報保護委員会に定期報告するとした。

 また参院内閣委は付帯決議で、衆院内閣委の付帯決議と同様に、「民間におけるプライバシーを扱うあらゆる側面で情報が適切に取り扱われる環境をあらかじめ作り込むという考え方(プライバシー・バイ・デザイン)に基づく取り組みを支援」するよう求めた。このほか、個人番号カードの公的個人認証機能を利用した本人認証の方法に、「生体認証の導入を含めより安全かつ簡易な方法を検討」することなどを盛り込んだ。