ブラザー工業は8月31日、インクジェットプリンター「PRIVIO」シリーズの新モデル6機種8モデルを発表した。文書印刷コストの低さが強みの同シリーズ。新モデルでは、家庭向け機種の本体サイズを小型化し、新インクの採用で暗部の画質を向上。年賀状作成アプリの機能も強化した。9月下旬から順次発売する。

 今回投入したのは、家庭向けA4対応複合機(PRIVIO BASICシリーズ)の4機種5モデルと、1枚手差しでA3用紙にも印刷できる家庭/スモールオフィス向け複合機(PRIVIO NEOシリーズ)の2機種3モデル(写真1、写真2)。既存モデルのうち、A3用紙を連続給紙できるビジネス向け複合機(NEOシリーズ上位モデルとWORKSシリーズ)と、コードレス電話機付きのファクス付き複合機(BASICシリーズの一部)は販売を継続する。

写真1●PRIVIO BASICシリーズの主力機種「DCP-J963N」(黒モデル)
写真1●PRIVIO BASICシリーズの主力機種「DCP-J963N」(黒モデル)
コンパクトな本体にADF(自動原稿送り装置)も搭載する
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写真2●PRIVIO NEOシリーズの家庭/SOHO向けモデル「DCP-J4225N」(白モデル)
写真2●PRIVIO NEOシリーズの家庭/SOHO向けモデル「DCP-J4225N」(白モデル)
1枚手差しでA3印刷が可能
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写真3●ブラザー販売の代表取締役社長 片山俊介氏
写真3●ブラザー販売の代表取締役社長 片山俊介氏
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写真4●ブラザー販売の常務取締役 三島勉氏
写真4●ブラザー販売の常務取締役 三島勉氏
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 従来ファクス機を得意としてきたブラザーは、ファクスや電話機付きのプリンター複合機で定評がある。しかし、2012年にプリンターの統一ブランドとして「PRIVIO」を立ち上げ、ここ数年は一般向けプリンターに注力してきた。今回の発表会でも、ブラザー販売 代表取締役社長の片山俊介氏(写真3)は、「マーケティングの軸足を従来のファクスからプリンターに移すことで、ユーザーニーズに合った製品の提供を目指してきた」と述べ、「コスト面で強みのある4色インクをさらに強化していく」と今後の製品の方向性を示した。

 キヤノンやセイコーエプソンの家庭向け売れ筋機種は6色インクが主流なのに対して、ブラザーは全機種に「顔料黒1色」と「染料カラー3色」の4色インクを採用する。そして、インクコストの仕様を見ると確かにブラザーの機種はコスト面で優位性がある。製品のマーケティングを担当する常務取締役の三島勉氏(写真4)は、ブラザーの独立型4色インクは「必要十分なきれいさと経済性を両立している」として、「その優位性を理解してもらうために、1カートリッジ当たりの印刷可能枚数を公開し、店頭POPやカタログなどで積極的に訴求していく」と語った。また、年賀状印刷だけでなくプリンターを年間通して使ってもらえるように、人気スマホアプリとの連携を強化し、コンテンツ提供サイトもリニューアルした。こうした活動を通じて「国内市場シェア15%を目指す」(三島氏)という。