写真1●Nextbitのスマートフォン「Robin」
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写真2●Nextbit共同創業者のTom Moss氏
写真2●Nextbit共同創業者のTom Moss氏
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 米国のベンチャー企業であるNextbit Systemsは2015年9月1日、同社初となるスマートフォン「Robin」を発表した(写真1)。データのオンライン管理などクラウド活用を前提に設計していることから「クラウド・ファースト」をうたっており、特定の通信事業者によらないSIMフリー端末としてオンライン発売する。

 通常価格は399ドルで、2016年第一四半期の出荷を予定するが、9月1日からクラウドファンディングサイトの「Kickstarter」上のプロジェクトの形で先行販売を開始した。キャンペーン価格として、最初の1000人は299ドル、ほかのKickstarterユーザーは349ドルで購入できる。プロジェクトの目標金額は50万米ドルである。

 米GoogleでAndroid OSの開発に携わったことでも知られる、Nextbit共同創業者のTom Moss氏は、「AndroidやiPhoneが開発されていた10年ほど前は、第2世代の移動体通信環境が前提だった。Wi-Fiもほとんど整備されておらず、つまり、クラウドを無いものとして開発されていた」とRobinの開発背景を語る(写真2)。Moss氏は、クラウドを無視して開発したOSを搭載する現在のスマートフォンの主な課題として、「ストレージが足りない」「機種変更時などのセットアップ手続きが面倒」「複数の機種を使っていても他の端末に作業を引き継げない」の3点を挙げる。これらの不満を解消するのがRobinというわけだ。

 Robinの特徴は、アプリケーション・ソフトウエアを含めてすべてのデータをオンライン上のストレージを使って管理していることだ。「ユーザーのマルチメディアやアプリケーションのデータは常にオンライン上に保存されており、必要に応じて手元に置くべきものを選んで移動する」(Moss氏)という。例えば、古い写真データはデータ量を落としたものだけが手元にあり、フルサイズの元データはオンライン上にあり、メールで添付したいときなどはオンライン上の元データを呼び出して利用する。これらの機能は、Android OSを改良することで実現した。

 399ドルという低価格ながら、ハードウエア面ではプロセサーとしてSnapdragon 808、電池容量2680mAhのバッテリー、USB 3.0 Type Cコネクタ、指紋認証、NFCなどの既存の上位機種並みの仕様を備えている。製品デザインを担当したのは、台湾HTCで「HTC One M7」などを手掛けたScott Croyle氏である。

 オフライン/オンラインの無料ストレージ容量は、それぞれ32G/100Gバイト。当初のユーザーから、それ以上のオンライン・ストレージ容量を求める声が多い場合には、無料で利用できる容量を増やす、ヘビーユーザー向けの料金プランを設定するなどの選択肢を検討している。

 Moss氏は今後、年1回の新製品投入を計画しているとする。さらにその先には「毎月一定額の利用料を支払うと、毎年最新機種が手に入る」といった事業モデルも示唆している。