米国際貿易委員会(ITC)は、フィンランドNokiaの携帯端末に特許を侵害されたとして米InterDigitalが米国での販売差止を求めていた件で、特許侵害の事実はないとする最終判断を現地時間2015年8月28日に下した。2014年にNokiaから携帯端末事業を買収した米Microsoftは、同事業への打撃を免れることができそうだ。

 この問題は、2007年にInterDigitalグループの2社がITCに苦情を申し立てたことに端を発する。InterDigitalは、Nokiaが米国で販売している第3世代(3G)携帯電話の一部が同社特許を侵害しているとして、恒久的な輸入差し止めと販売禁止を求めて提訴し、ITCは調査を開始した。

 ITCは2009年に特許侵害はないとする判断を下したが、InterDigitalはこれを不服として上訴。連邦巡回控訴裁判所は2012年、決定を覆して審理の差し戻しを命じた。

 2015年4月、ITCの行政法判事(ALJ)は再審理の仮判断を下し、Microsoftに移管されたNokia携帯端末がInterDigitalの特許を侵害しているとの見解を示した。

 ITCはALJの仮決定を審査していたが、業界からの意見なども含めて見直しを行った結果、最終的に特許侵害はないと結論付けた。

 InterDigitalはITCの最終判断を受け、同日声明を発表した。同社のWilliam Merritt社長兼最高経営責任者(CEO)は、「たいへん残念だが、MicrosoftのもとでのNokia携帯端末事業が低迷していることを考えれば、今後の我が社の事業への影響は限定的と思われる。当社は引き続き、過去の侵害行為と、無線通信標準に貢献した当社技術を不正使用し続けることに対する賠償を求めていく」と述べた。

[発表資料(ITC)] [発表資料(InterDigital)]