テラスカイとNTTPCコミュニケ―ションズは2015年8月27日、IoT(モノのインターネット)を業務に生かすSIサービスで協業すると発表した。生産設備やウエアラブル機器などから得られるセンサーデータと米Salesforce.comのクラウドサービス上の顧客データ(CRM)を掛け合わせて分析/活用するシステムを実現する。両社がシステム構築の窓口となり、9月1日から個別対応で販売する。

図1●構築するシステムの概要。センサーデータをSalesforceに取り込んで顧客データと掛け合わせる(出典:テラスカイとNTTPCコミュニケ―ションズ)
図1●構築するシステムの概要。センサーデータをSalesforceに取り込んで顧客データと掛け合わせる(出典:テラスカイとNTTPCコミュニケ―ションズ)
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 NTTPCコミュニケ―ションズは、センサーデータを収集して蓄積するシステムを構築する(図1)。IoTデータの収集/蓄積のためのミドルウエア基盤を最初から用意しており、これを使って早期にシステムを構築できるという。NoSQLのクラウドサービスや開発用のWeb APIなどを用意している。また、モバイル網(MVNO)と閉域網(VPN)を使ってIoTのための専用ネットワークを敷設する。

 テラスカイは、Salesforceにセンサーデータを取り込んで顧客情報と掛け合わせるアプリケーションを、Salesforceの基盤上に構築する。センサーデータをSalesforceに取り込む手段としては、クラウド型のEAIサービス「SkyOnDemand」を利用することによって、早期にセンサーデータとの連携を実現する。

 システム構築に当たっては、事前にコンサルティングも実施する。課題や需要をヒアリングした上で、IoTの活用計画を支援する。センサー端末の接続から、センサーデータを活用した業務改善のアイデアまで、両社のこれまでの実績に基づいた提案ができるとしている。

図2●生産設備や輸送機器の予防保全システムの例(出典:テラスカイとNTTPCコミュニケ―ションズ)
図2●生産設備や輸送機器の予防保全システムの例(出典:テラスカイとNTTPCコミュニケ―ションズ)

 センサーデータと顧客データを掛け合わせる業務システムの例として両社は、生産設備や輸送機器の予防保全システムを挙げる(図2)。この場合、機器が通常とは異なる挙動を起こす前に予防検知して、保守員が部品交換を実施できる。また、営業部員が後継機の提案を行うといったプロアクティブな行動を起こすことが可能になる。

 両社がIoTのSIサービスを提供する背景には、IoTの活用が難しいという状況がある。そもそも初期投資や構築の複雑さからIoTシステムの構築を断念したり、センサーから収集したデータを特定業務に利用するだけに留まっていたりする。企業全体の生産性を向上させたり、収集したデータを活用して新ビジネスを創造したりするといった展開には至っていないという。Salesforceの基盤とセンサーデータを組み合わせることで、早期にIoTを業務に活用できるようになるとしている。